それから12年
「…………………何の用だよ糞ガキ」
「親父に追い出されちった☆泊めてください!!」
「あ゙ー?んで俺んとこ来んだようぜぇ」
「ひでー」
「俺が酷ぇのは昔からだ、嫌なら帰れ。親父になら連絡してやる」
「ヒル魔昔は優しかったよ。今も優しい」
「あ゙ァ?」
これは一言文句言ってやらねぇと気が済まねぇ。
「…おい葉柱!!てめぇの息子はどーなってんだ!!」
『あー…やっぱヒル魔んとこか…ごめん』
「糞!うるせぇ。どーすんだよこいつ、さっさと取りに来い」
『ちょっと今ばたばたしてて…あっ、そうだ!ちょっとヒル魔預かってくんね?』
「あ゙ァ?」
『お願いヒル魔。後で礼するから』
「……お前ふざけんなよ」
『そいつ放置していいから!お願いシマスまじで!』
「……………礼はして貰うからな、糞!!!」
『あっ、それはもうホント、ありがとうヒルm』
「チッ…とりあえず入れよ」
「ありがとー」
* * * * * *
16歳のれお。
俺と葉柱が出会ったのも今のあいつぐれーの歳。
あいつは嫌味なぐれぇ葉柱に似ていて日に日に似てる所ばかり探しちまってる俺が馬鹿みてぇ。
あの頃はなんだかんだ喧嘩ばっかしてた気がすっけど好きだったんだよなーあいつが馬鹿みてーに屈託無く笑うから有耶無耶にした。それもまああいつが成人するまでって決めてたから誕生日祝って離れた。
あいつは親父さんの跡を継ぐって決まってたしな。俺といつまでも恋人ごっこしてるわけにいかねぇし。
大学一年の夏、アメリカに二人で旅行した。人目もはばからず手を繋いでキスしてデートした。古い思い出。
今更こんな鮮明に思い出すなんて思わなかった。
あのガキのせいだ。ムカつく程ルイに似ている。しかも昨日はこともあろうに40半ばのおっさん捕まえて結婚しろと迫ってきやがった。自分はまだ18になってねぇのに。そんなところも似ていてムカつく。
結婚は30代のときに女と2回してどちらも1年と保たず別れた。向いてねーんだよ。きっと一生一人で、死ぬときも。
「……ヒル魔飲み過ぎじゃねぇ…?」
「…………………」
「煙草火消えてる」
「…あ゙…?」
「ヒル魔がずっと親父を好きなのはわかってる。俺のこと、代わりにしていいから」
頭がぐらぐらする。考えんのも面倒臭ぇ。
「ヒル魔…」
ふわりと呼ぶルイの声。
「…ルイ…?」