プロポーズ
「『好き。ケッコンして』」
「あ゙?何言ってんだてめぇ」
瞬殺。
「んなもんはなあ、『して』っつって出来るもんじゃねーんだよ」
「…『しろ』?」
「お前そんなんじゃ一生結婚なんて無理だな」
「カッ!無理とか言うなよ!悲しくなんだろ…クソが」
「……いいか、お前の相手はあのヒル魔だ。そのこと忘れんな、普通に言って上手くいくわけねーだろ」
「じゃあどうすりゃいーんだよ…」
「知るか。てめーで考えろ」
アホくせ、やってられっかよ。
「待てよーもうちょい、もーちょい待てって。あなんか食う?すいませーん」
「お前な」
ったくロクなことねーな。
「だってよぅ、んなこと相談できんのお前しかいねーし」
「カスが…!」
お前ら最近俺のことナメてんだろ。いい加減にしろ。
「さっさと言って玉砕してこい」
俺は帰る。
「玉砕って決めつけんな」
「受け入れて貰えると思ってんのか、メデテーヤツ」
「わかんねーだろ…」
大方大丈夫だからさっさと決めて来い。鬱陶しい。
「お前って意外と優しいよな…」
* * * * * *
「………なあ」
「んだよ」
「好き。ケッコンして。ヒル魔」
「……何言ってんだてめぇ」
うわなんか凹む。
「結婚、してぇんだけど」
「あ?」
「だから結婚!」
「誰が」
「俺が」
「誰と」
「お前と」
「んなもん簡単にしてっつってハイソーデスカって出来るもんじゃねーんだよ」
うわーなんで同じこと言うわけ。
お前ら実はデキてるとか、ねぇよな…?
「…だめ…かな…?」
「今更結婚してぇのかよ」
「…ウン」
「チッ、いいぜ」
「……やっぱだめだよなぁ…」
忘れて欲しいような忘れて欲しくないような。
「あ゙?いいっつってんだろこの糞カメレオン!お前は能無し耳無しか?それとも人間サマの言葉は分からねーってのか」
「………へ…?マジで…いいの」
「さっきからそう言ってんだろ」
「お前ぜってー面倒臭がって断ると思ってた」
「…チッ、そんなんじゃ先が思いやられるぜ」
「…これからも、ずっと、側にいてください」
「………あぁ」
* * * * * *
「ヒル魔君」
「んだよ」
「その、指輪って…してたっけ?」
「これなー」
「……葉柱君?」
「ウッセーな鎖代わりだ」
「交換したの?」
「糞!何でもいいだろ、放っとけ」
「照れてる?」
「ちげーよ」
「昨日ルイちゃんわざわざこっちまで来てたぜ。『プロポーズってどうやってすんの』っつってたけど成功したんだーへーーフーーン。熱い夜だった?」
「…面倒臭ぇこと吹き込んだのてめぇか、糞ドレッド」
「6月第一日曜はプロポーズの日らしいとしか言ってねーよ。いいじゃねーかそれでプロポーズされてまあるくおさまってんだからよ」
「いらねー知恵付けさせんじゃねぇ」
オメデタイ頭してるバカなあいつが可愛いんじゃねーか。
Fin.