主従
「―てめェ!!んだよ、これ!」
ガチャッと鎖が自由を阻む。
「奴隷の具合ぐれー見とかねぇとなァ…夜伽こそが仕事だろ?」
「カッ…!!?」
「お前負けたろ、それとも何か?男に二言あんのか」
「……っ、ねぇよ!ねぇけど…」
「………お前もしかして…初めてか?」
「初めてに決まってんだろッ!つーか…」
「んー?」
「お前いつもこんなことしてんのかよ…?」
「んなわけねぇだろ、糞…もう黙れ」
ヒル魔に唇を塞がれた。咄嗟に目を瞑れば口内にヒル魔の舌が侵入してきて。
「ん゙ん…」
激しく口内を犯される。クチュリと水音を立てて離されると糸が引いた。
「…可愛がってやるよ」
耳元にエロい声で囁かれる。
「……………」
もう嫌だ。
確かに負けたのは俺だけど、こんな…
「っ、」
ヒル魔の指が胸の突起をやんわりと摘まむ。捻ったりしながら乳首を少し勃たせると痛いくらいに引っ張られた。
「…ッ」
「………お前…ヤラシイ躯してんなァ…」
「んん…」
突起にヒル魔の舌が這う。器用に小さな突起を舐めながら勃たせると、少しだけ歯を立てる。ヒル魔の尖った犬歯が上手い具合に刺激を加えて、ヤバい、声でる。
鎖で身動きも取れない、ガチャッと鉄の擦れ合う音だけが響く。
「ァ…、」
舌先で突起をつつかれてつい息を吐いたら甘ったるい声が出た。自分でも聞いたことねぇ。マジで俺の声か?
「あっ、ん…」
勝手に口からは俺の声じゃねぇ声が出る。
ヒル魔の舌が下って行く。いつも正確なパスを投げる指が自身に絡んだ。
「……、」
「…感じてるみてェだな」
勃ってるモノをやんわりとしごきながらそう言う。
確かに勃ってはいるけど…そんなことされたらしゃーねぇだろ、男だし。
「え…、」
ヒル魔はゆるゆると動かしていた手を止めると、舌を出して根元から先端まで舐め上げた。裏筋を舌が往き来する。カリを強く吸われて咥えられた。
女相手にもさせたことないくらい激しくされてあっという間に射精感が高まる。
「あ、アっ、ゃ、めっ…あァッ!」
ひたすらやめろって言ってもヒル魔はやめてくんなかった。
「ゃ…、も、ィく、から…、あっ、ア!ァアッ―!!!」
わけが分からず叫んで、イッた。ヒル魔の口内に。
「……派手に喘いでイッたなァ…あんま出してねェのか?濃かったぜ…?」
「……っ」
マジかよ、飲んだのか?あれを?
「涙眼で睨んでもコワくねーよルイちゃん。それ、煽ってるぜ」
「………っ…」
ヒル魔はそう言うと見せつけるように舌を出して指に絡めた。少し白っぽいのが見えてそれが自分の出した精液だと分かって羞恥に駆られる。
それも束の間、ピンクの液体ボトルを取り出したヒル魔がそれを───…
「や、ちょッ!まっ……ん、」
「これすげーイイからな、即効の催淫剤入り。効いてくんのも早ェしな」
ヒル魔がボトルの中の液体を塗り付ける。冷たく感じたのは最初だけで、今は熱くて、熱くて、焦れってェ。
「は…、ァん」
勿論ソンナコトに使ったことねぇソコをヒル魔は丹念に液体を塗り付けていく。時折指先が少し挿入ちまってびっくりする。
「ん…ゃ、あ…ァっ!」
ぐちゅっと音がして指が挿入ってきた。
痛いと思ったのに多少の違和感があるくらいで、全然気にならない。寧ろ奥を引っ掻いて欲しい、と思っちまった。
「ン…、」
2本目の指が挿入ってグチャグチャと抜き差しされる。
「はっ、んん…ッ」
「気持ち悪ィか?」
突然、そう聞かれるのと同時に指が抜かれた。
「ちが…っ、」
「ん?」
「もッ、と…っ!」
「……ケケ、了解。」
ヒル魔が意地悪く笑ったから罠だと気付いたけど遅かった。
指を3本に増やされて激しくピストン。同時に前もしごかれてわけわかんね。
「あっ、ア!ィイ!もっとぉ!あっ、あっ…ィくっ!いくー!あぁッー!!!」
解放感から息をゆっくり吐くと服を脱いだヒル魔が上にいた。
鎖骨の下辺りに紅い鬱血痕が見える。チャラ…、と鎖の音がしてたぶん足枷を外された。
指でナカを軽く掻き回されると、一気に質量の違うモノが挿入ってきた。
「…ンん…っ、」
「葉柱…息吐け、」
「……は、んん…っ!!あッ、ア、」
ゆっくり、呼吸しようとすんだけどあんま上手く行かねェみたいで、そしたら前を擦られてしごかれた。
「あ、ア、っ――!」
少し緩まったのか、一気に奥まで挿れられた。
「アぁっ!!」
「動かねェから…、息しろ。」
ゆっくり呼吸を整えるとヒル魔のを根元までびっちり咥え込んでいるのが分かって何とも言えない感じになった。
「…ッ」
手持ち無沙汰になったのか、ヒル魔が突起を摘まむ。
「あァ…、締まった…な、」
ヒル魔は暫く止まって俺の呼吸が整うのを待ってるみたい。
正直言って、深呼吸をするとヒル魔のモノを感じてしまって…。
「ん、どうした?」
「…っ、おまえの…。でけーんだよっ」
「……、どうも」
「ばッ、ちげーよっ!」
「そろそろ動いていいか?」
「……………」
「動くからな、」
黙ってたのにヒル魔はそう言うと俺の足を軽く開いてぐっ、と押し付けた。そのままゆっくり腰を引くヒル魔。
「…っ、」
抵抗らしい抵抗も出来ずにじたばたしたらヒル魔が上に乗り上げてきて。
「……あんま締めんなよ…イッちまうだろ…」
耳元に唇を寄せて甘く、エロい声で囁かれた。
ついでみてーに耳ン中を舐めて行った舌は口ン中も犯して行った。
ヒル魔のキスは優しくて激しい。ついでにもっと言えばエロい。
「お前ッて、キス、巧…あッ…あ、あ!」
「……お前にだけだ」
「え…、っ?ンん…!」
狂う。ヒル魔が容赦無く突いてくる。最奥までチンポが行ったり来たり。
「あぁっ!!!」
「…ココか?」
一瞬すげェことになった気がした。ヒル魔は今度はそこばっかり突き上げてくる。
「ア!あ!ゃ、あっ…、アぁ!」
気が狂いそうになる。ガチャガチャと手枷の音が煩い。
もうイかせて、イく、死んじまう。譫言みてーにイクイク言ってた気がする。
でも決定打をくれなくて。
「ヒルまァ…」
触って、って。オネガイ、無理。イかせて、って。
ヒル魔はしょうがねぇな、って。今回だけだぞ、って優しく言ってイかせてくれた。
でもその後ヒル魔が激しく最奥狙って突くからまた俺は気持ち良くなっちまって。
ヒル魔が軽く呻いてナカが熱くなるのと同じくらいに派手に喘いでイッた。
「…なんだ、お前後ろだけでイったのかよ」
「…………」
嘘だろ?
「…エロ、」
「ん…っ。」
ヒル魔が抜けるとザーメンが溢れ出る。
「ふ、っ…」
ヒル魔が指で掻き出してんだけど…際どいとこを引っ掻いてくるから…ヤバい。
「ァ…」
「ココ…だよな、さっきよがり狂ってたもんなァ」
「ァアッ!!」
「………お前マジ名器。すげーな、よく今まで無事だったな」
「は…、うるせ。も、」
「……なァ…」
「…なに」
ヒル魔がカチャリと手錠を外す。痕が痛々しい。
「付き合って」
「……………………………………は、?」
「…………、」
「……………とりあえず風呂…貸して」
ベタベタで気持ち悪ぃ。
「……お前入んねーの?」
「あ?」
「…ゃ……その、一緒に…、?」
「先行ってろ――あァ、」
ヒル魔がニヤリと意地悪く口角を吊り上げる。
「動けねぇ、か?」
「風呂まで連れてけよ、“彼氏”だろ?」
労れバカやろう。
言えば軽くキスされた。名残惜しく感じながら腕を伸ばしてヒル魔の首に絡める。
「な、風呂の後…もう1回だけ、ヤって?」
「…腰立たなくなっても知らねぇぞ」
「今更だろ」
「……まァな」
姫抱きで風呂場まで連れてもらって、シャワーを浴びる。
結局風呂で1回、ベッドで騎乗位になって腰を振ったことを翌日教えられた。言われてみればそんな気がしねぇことも…なんせブッ飛んでたからな、きっと。
「……あ゙ーー…で、?」
声もすげぇ嗄れてる。
「あーー…」
ヒル魔はミネラルウォーターを差し出しながら言いにくそうに頭を掻く。
「……………なに」
一気に半分くらい飲んで聞く。自分でも聞くの怖ぇけど。
「………あれ。見えるか?」
ヒル魔が指した先には黒い――レンズみたいのが光った――まさか。
ピッ、とヒル魔が手元のリモコンを操作するとテレビがついて――テレビの中の俺は、ヒル魔の背中に爪を立ててものすごい声で喘いでた。すぐヒル魔が消したけど夕方のオレンジ色に染まった部屋には沈黙が流れる。
「…………なんで撮ってあんだよ…」
「こんな上手く行くなんて思わねーじゃねぇか」
「監禁拘束強姦ハメ撮りだもんなあ…」
普通そんなヤバい奴と付き合おーなんて誰が思うかよ。
「よがってたじゃねーか、もっとっつって」
「…これネタに脅そうとした?」
「………しねぇけど」
今は、だろ?抵抗したら脅迫されてただろーな。
「…なら消せよ」
「おー」
嘘臭ェなあ。
「ヒル魔…消さねーと別れる」
「……………チッ…消しゃいんだろ」
渋々、といった感じで了承したヒル魔。
「何食いてぇ?」
腹減ったんじゃねぇ?と聞いてくるヒル魔。確かに減った。ぐぅ、と腹の虫も鳴った。
ヒル魔の服の端を引っ張り、バランスを崩した所を捕まえて、尖ったデカい耳に口を寄せるとピアスがチャリ、と鳴った。
「………お前。」
そのまま押し倒せばヒル魔が呻いた。
「まじかよ……」
手を出したお前が悪ぃ。