ksxx5

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記念日


「おかえり」
「おー」
ヒル魔が帰ってきた。あとちょい煮たら出来上がり。
「今日晩飯なに」
「海老天とホウレン草のおひたし。実家から里芋貰ったからそれと、味噌汁も?」
「ん」
振り返ればソファーに腰掛けてテレビを見るわけでもなくノーパソをいじってるヒル魔。見れば横に、ピンクやら赤やら茶色やらの包み紙やら箱やらが袋いっぱい。
「…できた、けど」
「おー。あ、さっき冷蔵庫見たんだけどよ。あれ食っていいよな?」
甘いものが嫌いなヒル魔の好きなベルギー産高級チョコレートはカカオ100パー。わざわざ実家に頼んで毎年取り寄せてる。
バレンタインだから。けど。
「俺からのなんていらねぇんじゃねーの」
「?あれの為に実家行って来たんだろ?」
「………」
そうなんだけど。そうなんだけどっ!
「…既にいっぱい貰って来てんじゃねーか」
カード付きだったり、ゴディバって見えたやつもあった。
義理って言えないようなラッピング―本命?ヒル魔が結婚してるって知ってて?俺に対する挑戦状…
「…妬いてんのか?可愛いなあーお前」
ヒル魔はケケケ、と軽く笑って。
「俺は10年前のお前の手作りが1番好きだぜ」
初めてチョコレートを作って、ヒル魔に告った。あんときの出来は…今思い出しても恥ずかしい。作り直してぇ。
「…それに、俺がチョコ貰って来んのは今に始まったことじゃねーだろ」
………そうだけど。そしてそれは毎年俺にくれるんだけど。
ヒル魔は大変おモテになる。そりゃー、俺だって、学生の頃はそこそこ貰ってたけど。けどヒル魔は社会人になってから更に増えた。学生の頃とは桁違いだ。
…なんで。
「なんか、年々増えてっ気すんだけど…」
「知らね。まあ10年目ってことで、俺からも」
「……?」
ヒル魔から渡されたのは花束。
「カ?」
―それと、上物のワイン。
「お前すぐヤキモチ妬くからなあ。俺が花なんて贈ることするかよ?」
「……し、ねぇ…」
少なくとも俺の知るヒル魔は。
「だろ。」
「………。へへっ、」
「お前だけだ」
「―――うん…」
「後で飲もうぜ」
チョコをツマミに甘い一時。



Fin.

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