ksxx5

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記念日



「じゃーな」
いつも通り葉柱の左頬に軽くキスをしてバイクから降りる。
すると、ん、と短い返事が返ってきてから歩き出す。それが常。
だが今日は違った。
「ヒル魔、これ…」
「あ?」
「ヒル魔甘いもん嫌いだろ?だから…、「んだよ」
「……今日、バレンタイン、だろ…」
「………。あー‥そうか、さんきゅ」
葉柱からもらったのは…カカオ100パー。
「…ん、」
味はまずまず。苦味が程好く絶妙。
朝練終わりに早速部室で食ってっとうるせーのが。
「―ヒル、魔、君っ!!」
あーうぜー。
「…んだよ、」
「いらないかもだけどー‥、今日バレンタインだから。」
「…おぅ」
M-4を後ろ手で構えようかと思ってからすぐにいらねぇと判断した。
そしたら糞サルがうるせぇから結局ぶっ放して、どーせお前らの分もあんだろっつったら糞マネが綺麗にラッピングされた糞チョコを出してきやがるから一気に甘臭ぇ。
ケルベロスの鎖を切ってチビ共が慌てんのを見ながらノーパソに目をやればもーすぐ始礼。
だりぃな、思いながら追い払って教室に向かう。
下駄箱。1…2、3、4、56。
教室―ロッカー…78910。
机…11121314…18。
「………」
本命から1個貰えばいいっつうの。
普段から悪魔だなんだ言われてっから別段貰っても嬉しくともなんともねぇ。去年は糞デブとケルベロスにやったが今年は―――。
「…糞、」
机全体がチョコ臭ぇんで元来た道を引き返す。教室を出たとこで先公に会って、何か言いたそうにしてたが無視して部室に戻る。
「…あー。やべぇ。死ぬ」
ノーパソで作業しながら暇つぶしに葉柱にメール。
   チョコさんきゅ(>_<)
P!  うまかった?
お、早ぇな。さてはサボってんな。
   暇してんならソンソン寄って部室。コーラ
   5分
P!  無理!
   やれ
PPPPPPPPPPPP…PPP、PPP
P!  なんで出ねーの
   今授業中V(^-^)V
P!  授業出てんの?
   いや?部室にいる。
P!  (`□´#)
PPPPPPPP、
「…んだよ」
『あと10分くらい!』
「おせーぞ」
『なんなんだよーすぐ行くから!!』
「8分な」
『無理』
「あ?」
『なるべく早く行くけど…8分はちょっと』
「7分な」
『あっ…ちょ、』
ガチャッ、ツ-、ツ-、ツ-、
   ゴム追加
P!  いや
RRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRR
   シカトすんな
P!  お前だってさっきしたじゃん
   出ろ
RRRRRR、
『…もう、なに』
「無くて困んのはお前」
『………カッ、分かったよ…』
「拗ねんな」
『………』
「…好きだぜ」
『〜〜!っ!!?ヒル、』
ガチャッ、ツ-、ツ-、ツ-、
P!  俺も
「…ケケケ、」
遠くからバイクがやってくるのを性能の良い耳が感じる。
―あと2分。
葉柱が来たら下駄箱にあんのも、ロッカーのも、机のも、全部やろう。その代わり全部取りに行ってもらうけどな。


Fin.

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