ksxx5

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コイシイアナタ




「彼ったら激しくってぇ」
「……」
「昨日もいっぱいヤっちゃったあ」
あーもー、そんな話すんなよ。
「…葉柱さん?」
「腰いたーい」
「葉柱さん?」
「なんでそんなヤってんの?私の彼なんて全然だしぃー」
「教えて欲しい?」
「うん」
「あのねー、」
「葉柱さんっ」
「………なんだよ、」
「さっきから呼んでるんすけど…」
「分かったーやってみるー」
あっくそ、聞き逃したじゃねーか。
「…で。何だよ?」
「携帯鳴ってましたけど…」
げ…まじで。つーか。
「カッ!?早く言えよ!!」
「言いましt「ったくよー」
気付かねーはずねぇんだけどな、普段なら。それ程会話が気になってたみてー。
《着信1件》
やっぱりヒル魔。かけ直そうか一瞬迷って。ボタンを押す―押そうとした瞬間に電話が鳴る。
「悪『泥門屋上5分』
プッ、ツ-、ツ-、ツ-、
悪ぃ、まで言えずにヒル魔が一方的に喋って切れた。
だからいつもみてーに言い返す暇もなくって。
「ヒールー魔ー」
「………あ?」
あ?って。酷くね。
「あ゙ァ?何だよ糞」
「悪ぃ、って。」
そりゃあ電話に出なかったのは俺が悪ぃけどさ、何も寝なくたっていーじゃねーか。
ヒル魔は起き上がると携帯を取り出して。
「―10分遅刻」
「…そもそも5分は無理です」
「フン。いっちょまえに口答えか。生意気になったな」
「………で…何?」
もうすぐ午後の授業が始まる。
「一発キメさせろ」
ヒル魔の声が空に吸い込まれた。
































「声響いてんな。」
「…っぅ、ン‥」
「コーフンする?」
「ぅ‥ッ、あ・ァあ!!」
本当はセックスも嫌いだ。でもヒル魔が望むのなら。
「‥‥‥」
半月ぶりの交わりは呆気なく終わり。ヒル魔が静かに息を吐く。
「次は遅刻すんなよ」
「だからっ‥、」




























* * * * * *






























―――罪。これは罰。俺が殺した。
いなくなったら新しい奴隷を調達すればいいだけ。そこに情はねぇ。
でもあいつの代わりは―もういねぇ。あいつに代わる奴なんて、もう二度と。
「お前がっ!!葉柱さんはっ…!」
賊学の奴等に闇討ちされた。まあ覚悟はしてた。あいつ人気あるからな。
ボスがいなくなって賊学の奴等が真っ先に俺のとこに来た。まあ当然か。
避けることも出来た。胸ポケに愛用のものがあった。バックにも。
でも使う気になれなかった。手帳も同様。
葉柱…いなくなって気付くなんて一番したくねぇな。お前の気持ちも知ってた。だから尚更。
「ばっかだなあ」
葉柱の笑い声。お前に馬鹿とか言われたくねーよ。
「ヒル魔…大好き…」
薄れゆく意識の中で葉柱の声が聞こえた気がした。
「……………………」
俺が10分って言ったから。雨だったのに葉柱はいつも以上に飛ばして。愛車のゼファーごと信号を無視したトラックに跳ねられたらしい。
1時間を過ぎてもやって来ねぇんで電話したら病院ってよ。キツいよな…
あんま覚えてねーけど病室まで行ったら葉柱がいて。一瞬目が合って、こっちに気付いたと思ったらピ―――と音がした。それからずっと葉柱を見てたけど目を開けることはなかった。





























葉柱の部屋…白と黒のシックなモノトーンで纏められた部屋。一目で良いものだと分かる高級感漂う家具たち。
ぐるっと見回して赤が目につく。それは隠すようにあって。背表紙はねぇ。
表紙を捲って1枚、Diaryと書かれた不良には到底似合わねぇ綺麗な字。葉柱の字だ。
日記なんか付けてたんだな、お前。お坊ちゃんだもんな。
ぱらぱらと捲ると、万年筆で書いてあるらしく。ときどき見える『ヒル魔』。
適当に見て驚いた。
【…今日は帰りに飯食いに行った。初めて誘った。すげー緊張した。でもヒル魔は一瞬考えてからいいぜって。
やばい。嬉しい。
今なら何でも出来るかもしんねぇ。】
【…今日はあんまり嬉しくねーことが起こった。
いつからこんな弱くなったんだろ、俺。】
【…今日は泥門のチアリーダーと喋った。瀧鈴音って言うらしい。
ヒル魔のことは妖一兄って呼んでた。やばい、今書いただけで緊張する。
俺だって下の名前で呼んでみてぇ。】
「馬鹿やろ…」
好きなだけ呼べよ。
「馬鹿野郎‥‥」
【…今日はケルベロスが寄って来た。意外とふかふかだった。
ヒル魔はずっとパソコンをいじっててあんまり喋れなかった。】
【…やっぱり姉崎と付き合ってんのかな。】
【…今日は原尾と会った。久々だったけど相変わらず。
反対されたけど結局応援してくれた。ありがとう。】
【…コンビニ行く度にコーヒーとコーラと無糖ガムを探しちまう。
銀がいちごオレ奢ってくれた。
ラッキー】
【…ヒル魔はパスタを作るらしい。】
んだこれ。
【…今日はヒル魔からメールが来た。
内容はすげーくだらねーけど実は保護した。】
【…今日から妖一って書いてみる。いいよな、そんくらい。】
【…今日は昼休みに妖一から電話が来た。
たまたま教室にいたら下世話な女共の会話が気になって1回で出れなくて遅刻した。
泥門の屋上でなんて思いもしねぇからビビった。
終わってから次はねぇぞって言ってデコピンされた。いってぇ、でも嬉しかったのはもう末期。
決めた。明日告る。だめで元々。
ヒル魔が好きだ。違った、妖一が好きだ。

女ってだけでずるいと思った。】
最後の一行は走り書きのよう。
次のページは真っ白。本来なら一昨日の日付が書かれるはずだったページ。
「ルイ…」








Fin.

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