school festival
「3日間あんだけどよ。毎日違うもん着るみてーだぜ」
「…へぇ…でも行けるか分かんねーかも」
「まぁ、暇なら来いよ」
「おぅ」
ホントは行きてーってか見せたくねーってか、一言で言うと嫌だ。
前評判からすげぇって聞いてっから尚更。
噂では軍服、ヴァンパイア、コック、医者、ネコ耳…は流石にねぇと思うけど、とにかく、ヒル魔のコスプレはなんでもクオリティが高ぇらしい。女装もあるとかないとか。
どこまでがホントか分かんねぇから怖ぇ。
「―お、なんだ。結局来たんじゃねーか」
ヤバい、お前マジでヒル魔?つーか男か?
なんだよその足!スカート短すぎんだろ、ウィッグだと思われる金髪ブロンドのロングヘアーは歩く度にさらりと靡いて。切れ長の吊り目は化粧でネコ目になってて、唇はぷっくりと赤みがある。
「今上がるから待ってろ」
首に腕を回してチュッと頬に口付けていったヒル魔。
「………‥‥‥‥‥‥!」
ははっ、やべー。普段から人目とか気にする奴じゃねぇけど、いつもはここまで感じねぇ男女問わずヒル魔目当ての奴等の視線が痛ぇ。
これあと二日もやんの?マジで?
「ん、」
チクチクと刺さる視線に嫌気が差して、ヒル魔のクラスのスタバから出ようとしたところでエプロンを外したヒル魔が戻って来た。
手にはフラペとコーヒー。
「………なんだよ、マンゴーが良かったってか?」
「いや、いいけど」
赤い、たぶんベリー系のフラペをもらって一先ず退散。
「…なぁ…。あと二日もやんの?これ」
「ケケッ、嫌か?」
「……………」
「ちなみに明日は…確か、軍服?だったか。明後日は反応次第で女装ナースか白衣で医者っつってたな」
「……………」
発案者は誰だ。よくヒル魔にやらせようってなったな。
「今日はメイドなんだと」
「………なんで…嫌じゃねぇの?」
「いや?別に?それより…そそんねぇ?」
「………………いや、だってヒル魔だし…」
まぁ綺麗、だけど。
「ケケッ、そうだよなあ。まぁお前が着てんなら俺的にはクるけどな」
……………。
「………触って来そうな奴とかいねぇの」
聞けばピラッと白と黒のスカートの裾を捲ると白い太股にガーターベルトと物騒なモン。
「ガーターんとこにハンドガン入れてっから」
「あー………」
「触りてーなら触らせてやっけど」
「カッ!」
「あ、あのー‥」
「ん?」
「写真撮らせてもらっても?」
見れば制服が二人。それも賊学。
「ほらよ」
ヒル魔から離れて撮りやすいようにすれば。
「あの、出来れば葉柱さんも…ってゆーか葉柱さんが撮りたいんです!」
「はぁ!!?」
言っちゃったーっておい。携帯片手に何言ってやがんだ。
ここはどう考えてもヒル魔だろ。
なんで泥門まで来て俺なんだよ、ガッコにいるときで良くね。…それもできれば嫌だけど。
「とりあえず、葉柱一人は撮らせねぇ」
「へ?」
「じゃ、ヒル魔さんもお願いします!!」
じゃぁって。いいのかよ。
つーか俺の意見は?
「じゃあいきます」
「ンっ!!?」
「あ、ありがとうございましたーっ」
「な。に、してんだよ!!」
撮られちまったじゃねーカッッ!
「牽制しとかねぇとなあ」
俺とあいつらガッコ同じなんだぞ、しかも写メ…
「〜〜〜〜〜〜っ」
ケッ、と言って歩き出すヒル魔。
「ちょ、ッ」
待てって。