むしゃむしゃ。ごくん。


ぼりぼりぼり。ごくん。





一定のリズムで繰り返されるこの音。この音を鼻歌混じりに奏でる彼はそう、隣の席の赤毛男児こと丸井ブン太くん。嬉しそうに笑顔でお菓子を食べている彼の横顔を見ると、本当に彼はお菓子が好きなんだなあ。とか思う。まぁ、ついでに言っておくと今は授業中な訳で。





「丸井、授業中だから」


「んなこと言うなよ、腹へってんだよぃ」


「って言われたって、今…」





5限が始まったばっかりだよ、ねえ。お昼休みにお弁当食べたんじゃないの、君。生憎、席が一番後ろの窓際っていう隠れて何かするには絶好の場所なだけに、先生にはバレてないみたいだけどさあ。




なんて思ったけど、口にはしない。私は優等生な真面目ちゃんだから、授業に集中しなければならないので丸井に構ってる暇なんてないのだ。




とか、生きてる内に言うことなんて永遠に来ないだろうな。この脳味噌じゃ。ま、なんやかんやで私は丸井を嫌いじゃない、むしろ好印象というか、なんというか…





「お前にも、やるよ…」





と、隣で恥ずかしそうに照れながらお菓子を差し出す丸井の声で私は我に帰った。「あ、うん。ありがと」と言って受け取ったそれは、彼がはまったかの様に毎日食べてる、誰しも一度は食べた事があるだろうコアラが描かれた中にチョコが入ったスナック菓子だった。





(え、これ……)





私は自分の目を疑ったが、よくよく考えたら丸井がそこまで気付くわけないし、そもそも気付いてたとしてもあり得ない。所詮はお菓子だ。丸井は食べられれば良いんだろうし。だから、きっとこのコアラの持っている「ーー」って書かれてるのだって、偶然とったのを私に渡しただけだ。そうだん。うん。




丸井に気付かれない様に混乱しながらも頭の中で奮闘している私に対し、彼は突拍子もなく質問を投げ掛けてきた。





「…返事……は?」



「へっ!?」



「………それの…」






そう言って彼が指差す先にあるのは私が貰った、「すき」と言う二文字が書かれた紙をもつ可愛いコアラだと言うことに気付くまでそんなに時間は掛からなかった。





Magic of sweets

(き、気付いてたの?)
(あ、あたり前だろぃ!その為に毎日買って…)
(え、毎日?)
(な、何でもねえ!で、返事は!?)
(えっ、お、お願い…します//)




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