「おいっ!!大丈夫か!?……って、」



冷房ガンガンな私の部屋に笑太の声が響く。あーもー。頭痛いんだから静かにしてよ、なんて声に出すのもしんどい。てか、玄関の鍵閉めといた気がするんだけど。



「んだよ…倒れたって聞いたから急いで来てたっつーのにピンピンしてんじゃねぇか」

「してませんー。頭痛くて死にそうですー。」



笑太は私の身を案じて急いで来てくれたのか、額から顔を伝っていくつもの汗が滴り落ちる。言い忘れてましたが、今は夏です。猛暑真っ盛りの夏です。



「はいはい。熱は測ったか?何度?」

「38.5度。大した事ないよ」

「はぁ!? 38.5って、何が大した事無いだ…十分重症じゃねぇか!」


つか、こんなに温度低くしてたら逆に悪化すんぞ、と言いながらエアコンのリモコンに手を伸ばそうとする笑太を止めたかったが、体が重くて動かなかった。



「だって、きっと走って来てくれると思って…」


朝やってたニュース番組の天気予報のコーナーで、今日は30度超えるって言ってたけど、きっと笑太の事だから。自惚れてると思われるかもしんないけど、でも、笑太の優しさは良く知ってるから。



「ばーか、んなもん当たり前だろ」



でも、ありがとな。と言って額にそっと乗せられた笑太の手が、冷たくて気持ち良い。あぁ、やっぱり笑太は優しすぎだよ。



「なぁ、」

「…うん」

「………」


二人の間に暫くの沈黙が流れる。今にもキスしてしまいそうな二人の距離に、そろそろ恥ずかしくて耐えきれなくなり、先に言葉を口にした。



「な、何でしょう…笑太さん…」

「ん…まぁ、いいや。大人しく寝てろ。飯作ってやるから」



早く風邪治して貰わないと困るからな。と言いながらその場から立ちダイニングへと向かう笑太に、ドキドキさせやがって!何て文句の一つでも言ってやろうかと思ったけど、体力の方もそろそろ限界だったのかすぐに意識は遠のいていった。でも、ちゃんと聞こえたよ。





「―――――」










「愛してる」 って。














(てか、夏に風邪引くってお前)
(ん!お粥美味ひ〜い)
(馬鹿でも風邪は引くんだな…)




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