背中に伝わる柔らかな布団の感触と冷たいシーツの感覚。両手をシーツに縫い付けられている為、身動きは取れない。
『ノボリさん、手離して…?』
「それは出来ません。離してしまえば逃げてしまうでしょう?」
『だって、いきなり…そんな…』
ギシ、とベッドのスプリングが軋む音。同時にナマエの両脚の間に割り込んでくるノボリの片脚。ナマエは目の前で見つめてくるノボリから顔を逸らした。
「此方を向いて下さいまし」
『嫌、です。恥ずかしいし…』
「…では、こうしましょう」
ノボリはナマエの両手を頭の上に移動させると、片手でナマエの細い手首を両方同時に掴み固定した。空いたもう片方の手で、今度はナマエの顎を軽く掴めば自分の方へと半ば強制的に向けさせる。
『ッ、やだ、ノボリさ――…んぅ!』
そのまま唇を塞がれるナマエ。ゆっくりと割り入ってくるノボリの舌先がナマエの舌先を見つけると、それはねっとりとお互いに絡み始める。
『ン、ぅ…ふぁ、ん…』
「…ん、ふ…ぅ、」
少し眺めの口付け。息が上がる頃に漸く離されると同時に混ざり合った唾液が名残惜しそうに糸を引く。ノボリの口付けにナマエの瞳にはうっすらと涙が溜まっていた。
「まだキスしかしていないというのに、涙目になって…そんなに気持ち良かったですか?」
ノボリはどちらのものとも言えない唾液に濡れたナマエの唇を親指で撫でた。
『だって…ノボリさんとキスするの久し振りだったし…それにあんなに絡められたら…』
ナマエは言葉を紡いでるうちに恥ずかしくなってしまったのか、ノボリから視線だけを外し、行き場の無い黒目を泳がせている。
「ふふ、可愛いですね。私も気持ち良かったですよ」
『ノ、ノボリさん…』
「何でしょう?」
『逃げたり、嫌がったりしないから…――手離して…お願い、』
「…分かりました」
ノボリはシーツに縫い付けていたナマエの両手を解放する。漸く自由になったそれはすぐにノボリの首元へ巻き付いた。
「ナマエ…?」
『久し振りだから…優しくして…』
ナマエは顔を隠すようにノボリの胸元へ顔を埋めながら、ぼそりと呟いた。
ナマエの言葉にノボリのリミッターは完全に外れてしまった様子。ノボリはナマエが身に纏うブラウスの上から程良い大きさの膨らみに手を添え、下から持ち上げるように優しく揉みしだいた。
『ゃ、あ…ンッ…』
同時に漏れる甘い声と吐息。ノボリはその反応を楽しみながら愛撫を続けた。徐々に硬さを帯びていく先端。その周りの輪郭を焦らすように指でなぞる。
『んぁ、ヤダ…それ…ッ』
「焦らされるの、嫌いではないでしょう?焦らせば焦らす程、ナマエは良い表情をしますからね」
『そん、な…ッふ、ぁ…』
「ですが、そろそろ邪魔ですね」
ノボリは慣れた手付きでブラウスのボタンを上から下へと順に外していく。全て外されるとブラウスが両サイドに開かれ、真っ白な下着に包まれた両胸が露わになる。
再び双方の胸を掌で覆うと下着に指を掛け、ゆっくりと下へずらした。ぷるん、と柔らかさを強調しながら揺れる膨らみ。隠れていた突起が外気に晒されるとそれは更に硬さを増した。
『恥、ずかし…ッ、』
ナマエは反射的に両手で胸を隠そうとしたが、ノボリによってそれは適わなかった。
「こんなに硬くなって…」
ノボリは胸の先端に口元を近付けると、舌先で硬くなった突起を舐め上げた。同時にビクンと身体を反応させるナマエ。突起を口に含めば口内で転がしたり、少し強めに吸い上げたり、時折歯を立ててみたりと幾つかの刺激をランダムに与えた。
『は、ぅ…ァ、ノボリさ、んッ』
「とても気持ち良さそうですね。まだ胸だけというのに腰まで浮かせて…」
ノボリは胸元から顔を離すと、ナマエの下半身に手を移動させる。スカートのホックを外し、下着ごと一緒に摺り下げた。ノボリの愛撫によって溢れた蜜が糸を引く。
『…やッ!』
「濡れ過ぎじゃありませんか?もう慣らす必要もないくらい溢れておりますよ」
『言わないで…意地悪…』
「夜は意地悪になると言ったでしょう」
ノボリはそう言いながら、ナマエの両足をの間に顔を埋めた。溢れる愛液を指先に絡めては、ゆっくりと膣内に指を進める。合わせて、赤く充血し膨らんだ突起部分に舌を這わせた。
『ひぁッ!ァア、んゃ…ッ!』
ビクビク、と身体を反応させるナマエ。ノボリは徐々指を増やしていきながら膣内を掻き回し愛撫を続けた。
「…ん、こんなものでしょうか」
『ハッ、ァ…んぁ、』
「ナマエ、力を抜いていて下さいまし」
ゆっくりと秘部から顔を離すと、ノボリ自身も纏っていたYシャツを脱ぎ、カチャカチャとベルトを外せばスボンと下着を一緒に膝近くまで下ろした。
ずっと我慢していた所為か、普段よりも大きく反り勃っているように見える。ノボリは、自身をナマエに当てがうと数回上下しながら擦り付けた。
『んん、ァ…はぅ、ンッ』
「挿入れますよ…ッ!」
『ッ、ァア!あッ、ヤッ、』
ずぷ、とゆっくり挿入するノボリ。最奥まで届くと、徐々に律動を始めた。その度にナマエの口からは甘く大きめの声が発せられる。
「ッ、ナマエ…ナマエのナカは熱くて溶けてしまいそう、です」
『ふぁ、ンン!…そ、んな事…ァアッ!』
幾度と無く繰り返し行われる律動に頭がおかしくなりそうだ。ナマエは時折意識が飛びそうになるのを必死に耐えた。
『ノボリ、さ…わた、し…もぅ…ッ、』
ガクガクと揺さぶられながら限界が近い事を伝えるナマエ。ノボリに向けて、力が入らない腕を必死に伸ばした。
「ック、ナマエ、私も限界です…ッ!」
ノボリはナマエの両脚をしっかりと持ち上げ、律動を速めた。そのリズムに合わせ、限界がすぐそこであろうナマエの喘ぎ声が室内に響く。
『アッ、ぁあッ…ノボリ、さ…!ひぁあッ!』
「…――ッ、ナマエ…!」
―――――……
―――……
―…
『…――ん、』
重い瞼をゆっくり開くと目の前には愛しいノボリの姿。二人で絶頂を迎えた後、眠りに落ちてしまったようだ。ナマエは整ったノボリの顔を見つめながら、その頬に手を添え、そっと撫でた。
「…くすぐったいですよ」
『あ、ご…ごめんなさい。起こしちゃったかな…?』
「いえ、少し前に起きていました。目を瞑っていただけですよ」
そう言ってノボリはナマエの腰に腕を回し、引き寄せると更に密着するように抱き締めた。
「歳なんでしょうか、久し振りだったのもあって体力が…」
『もう、ノボリさんったら…まだ若いくせに。でも私もヘトヘトです。ノボリさんが頑張るから…』
「ナマエを見ていると抑えが利かないんですよ」
『そんな事言ってたら、ノボリさんだって格好良いし…私も、その…抑えられないっていうか、なんて言うか…』
段々恥ずかしくなってしまったのか、徐々に小声になるナマエ。そんなナマエをノボリは愛おしそうに見つめた。
『ねぇ、ノボリさん』
「何でしょう?」
『マッサージ、ちゃんとして下さいね。出来れば、その…腰の方をお願いしたいです』
「承知しました。少し無理をさせ過ぎてしまいましたからね」
『でも、今は未だノボリさんと…このままで居たいです…』
ナマエはノボリに擦り寄りながら幸せを存分に噛み締めた。それはノボリにとっても同じ様に――…。
-- END --
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