「何だか雲行きが怪しくなってきたね」

『え、嘘ッ!?午後も晴れると思って洗濯物干しちゃったよ!』

「急いで取り込まないと…」

『ちゃんと天気予報見ておけば良かった…』



今朝は快晴だったのに昼過ぎになると澄んだ青空が南側より灰色の厚い雲に覆われていく。この雲を見る限りでは荒れた天気になりそうだ。

ナマエは今朝干した洗濯物を取り込む為にベランダへと急いだ。幸いにも未だ雨は降っておらず、雨が降る前に洗濯物を取り込む事が出来た。



『これでよし、と…』

「今日は部屋干しに決定だね」

『臭い付かなきゃ良いんだけど…』



取り込んだ洗濯物を室内に干し直すナマエ。デントは窓越しに灰色の空を眺めていた。



「かなりの雨量になりそうだね」

『あんなに天気良かったのに一変しちゃったね…』



サンヨウシティの空はあっという間に灰色の空で覆い尽くされ、既に外は夕刻のような薄暗さになっていた。



『外真っ暗…』

「うん、雨戸閉めておかないといけないかも」








…―――ピカッ!!





突如、薄暗くなった外が一瞬だけ真っ白に光る。その後、直ぐに"ゴロゴロ"と大きな音が鳴り響いた。




『キャッ…!』

「街の近くの岩に雷が落ちたみたいだね…」




雷が落ちると、それが合図かのように豪雨が降り始めた。




『…ッ、雷嫌い…』

「ナマエ…?」



ナマエは雷が鳴った途端、その場で耳を塞ぎながら身体を小刻みに震わせていた。怯えるナマエの姿に気付いたデントはナマエにゆっくり近付き、背後からそっと小刻みに震えるナマエの身体を包み込むように抱き締めた。



「ナマエ、大丈夫だよ。僕が付いてるから…」



デントはナマエの身体をギュッと抱き締めたまま、片手でナマエの頭を優しく撫でながら耳元で囁いた。



『デ、ント…』

「雷が鳴り終わるまで、このまま抱き締めていてあげるよ」

『あり、がと…デント…』



ナマエはデントの腕の中で身体を反転させ、向き合うような形でデントに抱き付いた。







怖 い も の 知 ら ず







(デントに抱き締めて貰えるなら、雷なんて怖くない…。寧ろ、デントとずっとこのままで居られるなら、雷が鳴り続いていても良いかもしれない…)




--END--

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