『ケフカ様、好い加減、起きて下さい』



陽が登って暫く立つというのにも関わらず、目の前でスヤスヤと眠っている上官兼恋人であるケフカ。そんなケフカの額を恐れる事なく"ぺちん"と叩くナマエ。



「ンー…、ぼくちんまだ眠いじょ〜」



ケフカは眠いと言って、毛布を頭の上まで被せ潜り込んでしまった。暫くするとまた整った寝息が。



『いや、眠くないですから。早く起きて下さい。またレオ将軍に怒られますよ』



ナマエは布団越しにケフカの身体へと手を添えると、ゆさゆさと身体を揺さぶった。




「…――あぁもう!眠いって言ってるでしょう!」

『うわッ!』




突如、布団からガバッと起き上がってきたケフカ。それと同時に腕を捕まれ、ケフカの布団に引き摺り込まれる。



『ちょ、ちょっと!』

「これで我慢して下さい」

『え、いや、何をですか』

「ぼくちんが起きなくて寂しかったんでしょう?」

『何言ってるんですか、起きて下さい』



ナマエは呆れ果てた顔をしながら、ケフカの胸元から彼の顔を見上げる。こんな事は日常茶飯事ではあるが、やはり意識している異性と密着すれば胸が高鳴ってしまう。



「ドキドキしますか?」

『いえ、特には』

「まーたまたぁ、そんな事言ってぼくちんの事だーい好きな癖にぃ」

『もう良いですから!離して下さいッ、そして起きて下さい!』



ケフカの身体から離れようと、グイグイと胸板を両手で押すが、それは押せば押すほどケフカが抱き締める強さが増す事になった。


ナマエはもう一度、ケフカの顔を見上げた。するとケフカもナマエの顔を見詰め返す。



『・・・ッ!』



至近距離である事が恥ずかしかったのか、ナマエは頬を赤く染め直ぐに顔を俯かせた。



「可愛いですねぇ」

『う、るさい…です』

「誰に向かって口聞いてるのか思い知らせてやりたいところだけどー、ナマエちゃんが可愛いから今は許してあげましょう」

『…ハァ、もう良いです。怒られても知りませんから』



無駄だと悟り諦めたナマエは大人しくケフカに抱き締められる。そんなナマエの姿にケフカはご満悦の様だ。



「イイジャないですか〜、こうしてぼくちんと布団の中で抱き合うのも」

『抱き合ってません。ケフカ様が一方的に抱き締めてるだけです』

「そういうツンツンしてるナマエちゃんも可愛いですよ」

『…もう、ケフカ様のバカ』

「褒め言葉として受け取っておきますよ」




ケフカが視線の先にあるサラサラの髪を片手で梳くように撫でると、ナマエは気持ち良さそうに目を細めた。




『ケフカ様…』

「何ですか?」

『眠たくなってきました…』

「それじゃあ、ぼくちんと一緒に二度寝しましょうか」

『は、い…』



ウトウトし始めたナマエ。暫くすると先程のケフカ同様にナマエから整った寝息が聞こえ始めた。








す り ぷ る







(こっそり魔法を掛けたなんて教えたら、後でナマエに怒られてしまいそうですねぇ…ヒヒッ、)





--END--

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