『ヤナップが見つかって本当に安心したけど…、デント…どんな反応するのかなぁ…』
「ヤナァ…」
『まぁでも、怪我をしたポケモンの手当てをしてあげた事はとても良い事だと思うよ』
「ナプ…」
Serendipity
怪我をしたマメパトを手当てする為とは言え、勝手に街から出て来てしまい、デントやナマエに心配を掛けてしまった事を後悔し落ち込むヤナップ。そんな様子のヤナップの頭をナマエはそっと撫でた。
『それにしても、このマメパト…傷口は結構深いわね。木の枝にでも引っ掛けたのかしら…?』
「ヤナァ…」
『街に戻ればポケモンセンターもあるし、後はジョーイさんに任せておけば大丈夫だよ』
マメパトの事が余程心配なのだろうか、ヤナップはナマエの腕の中で傷口の痛みに耐えるマメパトを"ジッ…"と見つめている。
『ヤナップはデントに似て、とても優しい子だね』
*****
ヤグルマの森を出て15分程経過しただろうか、漸くサンヨウシティの入口であるゲートが見えてきた。
ゲートを抜け街に入ると、ゲートの直ぐ傍で落ち着かない様子のデントの姿があった。デントは未だにナマエ達に気付いていないようだ。
ナマエは『デントー!』と少し大きめの声でデントに呼び掛けた。
「ナマエッ!それにヤナップまで…!」
『ただいま、デント!ヤナップ、ちゃんと見つけて来たよ!』
「ヤナヤナァ…」
デントはナマエ達のもとへと駆け寄ると、ナマエの肩に乗っていたヤナップを抱き上げた。
「ヤナップ!勝手に街を出て…、僕がどれだけ心配したと思ってるんだ!?」
「ヤ、ナ…」
『デ、デント…そんなに怒らないであげて…!』
「ナマエ…、でも…」
『デント、このマメパトを見て…酷い怪我なの…』
ナマエは抱えていたマメパトをデントに見せた。マメパトは先程よりも辛そうな様子だ。
「…ッ、本当に酷い怪我だね。早くジョーイさんに診せないと」
『うんッ…!』
マメパトを見たデントは、早くポケモンセンターに連れていかなければ危険と判断し、ナマエと共にポケモンセンターへ急で向かった。
「ジョーイさん!」
「あら、デント君…それにナマエちゃんまで…」
『ジョーイさん、このマメパト…酷い怪我なんです!治してあげて下さい…!』
「大変ッ!直ぐに治療をしないと…!」
「お願いします、ジョーイさん」
ナマエはマメパトをジョーイに預けると、治療室に運ばれていくマメパトを目で追った。
『マメパト…』
「あのマメパトは野生のマメパトだよね?」
『うん…』
「一体、街の外で何があったんだい?」
「ヤナヤナッ!ヤーナッ!!」
「…ヤナップ?」
街の外で何があったのかナマエに尋ねるデントの姿を見たヤナップは、何かを訴えるようにデントに向けて声を出している。
『ヤナップ、事情は私が話すから…』
「ヤ、ナァ…」
ヤナップが何を言いたいのか察したナマエは、ヤナップの代わりにデントへ事情を告げた。
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