…――バレンタイン。

彼女から彼氏へ、というのが主流であるのかもしれないが、今の時代は友達同士であったり、職場内で御世話になった人達へと様々な場面でチョコレートを贈る機会が増えている。

そしてバレンタインの前日、此処にも同様にバレンタインにチョコレートを贈ろうと手作りチョコを作るひとりの人物が居た。

















『よーし、こんなもんかな』



彼女の名前ナマエ。イッシュ地方にあるサンヨウシティのレストランで接客係として働いている。また、このレストランは、未だ駆け出しのトレーナー達が一番最初に挑戦する事となるポケモンジムでもあるのだ。

そんな中でナマエは日頃から御世話になっているジムリーダーに日頃の御礼も含めてバレンタインの日に手作りチョコを贈ろうとしていた。



『…うん、美味しい!』



(…と、言っても三人の腕前からすれば、私の作るチョコなんて全然劣るけどねぇ…)



私が働くサンヨウジムにはジムリーダーが三人居て、三人とも男の子。更に三つ子という他には無い珍しいジムなのだ。

草タイプの使い手であるデントさん。水タイプの使い手であるコーンさん。最後に炎タイプの使い手であるポッドさん。三人が使いこなすタイプは全く別のタイプ。

また、彼等はとても料理が上手く、彼等が作る物全てが超絶品なのだ。加えて、顔も良い為にルックスも含めて女性陣からの人気度も非常に高い。

…だから、私がバレンタインにチョコを準備していても、その女性陣から贈られるチョコのせいで受け取って貰えないかもしれない…。

それでも、三人にはいつも助けられているから…こういうイベントの時くらい御礼を兼ねて何かを贈りたいと思った…。気持ちだけでも伝われば良いかなって。



『…――あ、そうだ。あの子達にも用意しなきゃ』



ナマエは三兄弟の分とは別に新たにバレンタイン用のチョコを溶かし始めた。次いで、ナマエが取り出したのは市販のポケモンフード。そのポケモンフードを溶かしたチョコに絡め、丁寧にコーティングしていった。

…――そう、これは三兄弟の持ちポケモンであるヤナップ、ヒヤップ、バオップの三匹に贈るポケモン専用のバレンタインチョコだった。ポケモン達もオスなのだから人間と同じようにバレンタインチョコを受け取っても良いはず、と作ったのだ。

出来上がったチョコはナマエの手によって丁寧に箱詰めされた後、デントとヤナップには緑色の包装紙、コーンとヒヤップには青色の包装紙、ポッドとバオップには赤色の包装紙とそれぞれのイメージカラーに合わせてラッピングが施された。

最後にそれぞれの色に合わせて準備していた淡い色のリボンをラッピングした箱に巻き付け、リボン同士が交わる部分には細いリボンで作った手作りの花を飾り付ければ完成だ。





(後は渡すだけ、と…)





--END--

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