『クダリー…』

「どうしたの?ナマエ」

『暇ー…』

「暇?」



今日は互いに仕事が休みで、久々に恋人のクダリの家に遊びに来ている。まぁ、ノボリさん家でもあるけど…彼は仕事熱心で今日の休み返上の休日出勤だから、家にはクダリと私だけしか居ない。

でも、クダリってば珍しく家で仕事の書類を纏めてて…多分、今まで溜め込んでた分の書類なんだろうけど…。だから、クダリに相手して貰えなくて……暇。



「もうちょっと待っててくれる?これ書き上げたら終わるから!」

『うん…』



床の上でうつ伏せになりながら書類を纏めるクダリの隣に、ちょこんと座り込んではクダリをジッと見詰めるナマエ。ナマエの表情は少し寂しそうにも見える。



「……よし!おーしまい!」

『終わったの?…――キャッ!?』



書類整理が終わった事を告げるクダリにナマエが改めて確認しようとすると同時に、ナマエは膝に重みを感じ声を上げる。重みの原因はクダリの頭だった。



『ク、クダリ…!』

「ナマエの膝枕、気持ち良いねー」

『…ッ、重いよ…』

「アレー?ナマエ、顔真っ赤だ。もしかして恥ずかしいの?」

『う、うるさい…!』



恥ずかしさの余り、ナマエの膝に頭を預けるクダリが直視出来なくなったナマエは軽く天井を見上げクダリから視線を逸らした。



「ナマエ、こっち向いて?」

『ヤ、ヤダ…』

「向いてくれないと悪戯しちゃうよ?」

『ダ、ダメ――…んむッ!』



悪戯、という言葉に慌てて視線をクダリに戻すナマエ。視線を戻した瞬間、ナマエの唇に柔らかな感触が伝わる。



『ふ、んん…ッ』



柔らかな感触の正体はクダリの唇だった。唇に吸い付くような刺激が伝わると同時にナマエの肩が小刻みに震え始める。それを見たクダリは少し興奮してしまったのか、ナマエとのキスを楽しみながら、横になっていた体勢を起こし、今度はナマエを身体を床に押し倒した。

流石のナマエもクダリに押し倒された事に関しては目を見開き、クダリの肩に手を当て押し返そうと抵抗した。が、クダリも男だ。女の力で抵抗しても無意味に等しい。



「…――ぷはっ!勢いで押し倒しちゃった」

『…はぁ…ッ、は…!ク、ダリ…』

「アレー?今度は泣いちゃって、どうしたの?」

『泣いて、なんか…』

「ナマエの嘘吐き。ボクのキスに感じちゃったんでしょ?」

『…ッ、』



クダリの言う通りだ。クダリのキスに感じてしまった…。だけど、『はい、そうです』って認める事なんて恥ずかしくて絶対に出来ない…。



「良いよ、嘘吐きでも可愛いから。それに――…」

『それ、に…?』

「今から、もっともっと感じて貰うから!」

『え…』






クダリはニッコリと満面の笑顔で告げると、ナマエの身体を軽々と抱き上げ、真昼にも関わらず寝室へ姿を消してしまった。







甘 い 御 褒 美







(寂しそうな顔してボクの事、ずっと待っててくれたんだから御褒美あげないと…ね?)





--END--

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