『あ、あの…ノボリさん』
「何でしょう?」
『い、一体…これは?』
「私の趣味で御座います。お気に召しませんでしたか?」
『し、趣味って…』
支 配
ライモンシティにある地下鉄を初めて利用したのは今から約半年前。
その時、初めてサブウェイマスターの二人に出会った。そして、私はサブウェイマスターのうちの一人、お兄さんのノボリさんに一目惚れしてしまった。ノボリさんの紳士的な言葉遣い、態度…本当に素敵な男性だと感じた。
その後、私はノボリさんに会う事を目的に毎日の如く地下鉄を利用するようになった。最初のうちは挨拶程度だったけど、日が経つにつれて普通の会話もするようになった。
更に三ヶ月後、私は自分の想いを伝えるべく、ノボリさんに告白。振られても良い、兎に角…自分の気持ちを知って欲しかった。
ノボリさんの答えは「イエス」だった。本当に嬉しくて、涙が止まらなかったのを覚えてる。大好きだったノボリさんと恋人になる事が出来て本当に幸せだと感じた。
「私もナマエ様をお慕いしておりました。私からも御願い致します」
『ノ、ノボリさん…!』
「ナマエ様、私とお付き合いして下さいまし」
それから、ノボリさんの休みの日にはデートに行ったりと互いの事を少しずつ知っていった。
そして、更に二ヶ月経った今。私はノボリさんに誘われて、ノボリさんの家に招いて貰える事になった。
ノボリさんの性格からして、家では一緒にのんびり過ごすんだろうなって勝手に想像していた矢先…私はノボリさんにお姫様抱っこされ、気付けばベッドの上に組み敷かれていた…。両手首は頭上で縛られ、両脚の間にはノボリさんの身体が…。
…――そう、これはノボリさんの趣味。さっき、本人がそう答えてた。まさか、ノボリさんにこんな趣味があるなんて思ってもいなかった。
『や、やめて下さい…冗談ですよね?』
「冗談で、このような事は致しません」
『…ッ、恥ずかしいです』
「恥ずかしがるナマエ様も素敵で御座います」
変態だ、そう確信した。男は皆変態だと言うけれど、ノボリさんにも当て嵌まろうとは思わなんだ。
「ナマエ様…」
『な、何ですか…?』
「私は…ずっとナマエ様の事ばかり考えておりました」
『ずっと…?』
「はい、ナマエ様とお付き合いを始めてから…ずっとで御座います。ナマエ様の事を考え過ぎて、毎晩の如く夢にナマエ様が出てきては、ナマエ様を夢の中で抱いておりました」
『…ッ!』
そ、そんな…夢の中で私とシてたって事…!?そんな話聞かされると本当に恥ずかしい…。この状況から今すぐ逃げ出してしまいたい…!
「ナマエ様は嫌ですか?私とひとつになるのは…」
『そんな…ッ、ひとつになるなんて言わないで下さい…!』
「嫌、なのですか…?」
『そ、そういう訳じゃないですけど…』
「けど…?」
『ノボリさんの口から"ひとつ"なんて言われると本当に恥ずかしくて、どうして良いのか分からなくなるんです…』
あまりにも恥ずかし過ぎて、私はノボリさんから顔を逸らしてしまった。今、彼はどんな表情をしているのだろうか…見えない分、とても怖い。
「クス…可愛らしい事をおっしゃいますね」
紡がれたノボリの言葉にハッとした表情を浮かべるナマエ。そんなナマエにノボリは強引に口付けた。
『んぅ…!』
ねっとりと絡められる舌先にどうして良いか本当に分からなくなってしまった。それでもノボリさんは強引な口付けで私の口内を犯してくる。何で、こんなにキスが上手いんだろう…疑問に思ってしまうくらいに上手だった。
『ぷは…ッ!』
「ナマエ様は本当に可愛いです。早く私のモノにして差し上げましょう」
そう言って、ノボリは再びナマエに深く口付けながら、ナマエが身に纏う服のボタンを慣れた手付きで外し始めた。
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