『うーん、良い天気!』



久々の晴天。暫く雨ばかりが続いていた為に洗濯物が溜まっていた。

三人が普段から身に着けているワイシャツや替えのベストにズボン、中には下着なんて物も…溜まっている衣類を全て一斉に洗濯し、外の気持ち良い風を浴びさせた。

これから干す衣類と入れ替わり、今朝から干していた真っ白なシーツは既に乾いており、ほのかに香るフローラルの良い香りがナマエの鼻を擽った。






…―――ふわっ




乾いたシーツを次々に洗濯カゴへ移していると、突然視界が真っ白になった。それと同時に耳元で甘く囁く少し低めの声が身体の芯を震わせる。



『わ…ッ!』

「ナマエ、少し休んだらどうです?」

『コ、コーン…?』

「当たりです」



取り込んだばかりのシーツでナマエの視界ごと身体を覆った犯人はコーンだった。

ナマエの視界は未だにシーツのせいで真っ白だったが、耳元で囁かれた為に声の持ち主がコーンである事に直ぐに気付いた。



「溜まっていた洗濯物、全部洗ったんでしょう?」

『うん…久々の良い天気だったから、つい…』

「一言声を掛けて下されば、コーンも手伝いますよ…?」

『い、いいよ!だって、コーンもデントも…それにポッドも、ジムとお店の両立で忙しいだろうし…!それに比べたら私なんて全然役に立たないし、洗濯とか掃除とか…そういう事しか出来なくて――…』






…―――ぎゅっ





ナマエがシーツの下で情けない表情を浮かべながら言葉を紡いでいると、今度はナマエの全身を包むシーツごとナマエの身体を抱き締めるコーン。



『コ、コーン…!?』

「役に立ってるじゃないですか」

『え…』

「ナマエが居ないとサンヨウジムは成り立ちません。ナマエはコーン達にとって、大切な女性なんです」

『コーン…』



コーンの一言が私の心を一気に暖かくしてくれた。お日様みたいな、ポカポカした心地好い暖かさ…。



「さぁ、シーツを取り込んでしまいましょう」

『え、あ…うん!』

「このまま、ナマエの事もコーンが取り込んであげても良いんですけどね」

『…シ、シーツ取り込んだら…コーン達の服も干さなきゃいけないんだから!』

「では、干し終わった後で構いませんよ」

『…もう!コーンったら!』

「ふふ、冗談ですよ」







あ る 晴 れ た 日 に







…――嗚呼…やっぱり、天気の良い日は気持ちが良い。







--END--

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