「「コーン様ぁ!!アタシ達、注文決まりましたぁ!」」
「はい、直ぐに参ります」
今日も女性客で賑わう店内。デントはジム戦、ポッドはその審判役。残ったコーンとナマエで店を回していた。
店内に居たデントのファンとポッドのファン、ジム戦の観戦をしたい客人は全て別の部屋へと移動した。店内に残った大半がコーンのファンであった。中にはコーンに媚を売る女性客も居た。
「お待たせ致しました、御注文をどうぞ」
コーンは注文を取りに先程声を掛けてきた女性客のもとへ足を運んだ。
「コーン様!アタシ、コーン様がオススメしてるサイコソーダが飲みたいわ」
「じゃあ、アタシはミックスオレにするわ」
「畏まりました。サイコソーダとミックスオレをおひとつずつですね」
「「はーい!」」
「少々お待ち下さい」
ニコリと営業スマイルを女性客に向けたコーンは注文品を準備すべくホールからキッチンへと移動した。
「ナマエ、オーダーです」
『あ、はい…!と言っても飲み物でしょ…?』
「ですね、」
『飲み物ならコーンが作ってあげたらどう?店内に居る人達ってコーンのファンばかりでしょ?』
「ファンだとしても、コーンからしてみれば…」
ナマエの一言にコーンは苦笑いを浮かべながら、食器類を洗うナマエの隣でサイコソーダとミックスオレを作り始める。ナマエはそれを横目で見ながら溜まりに溜まった食器類を洗い続けた。
『ジム戦、まだ終わらないのかしら?』
「デントが相手をしている割には長引いていますね」
『もう!お店忙しいんだから早く戻って来て欲しいわ』
食器類を一通り洗い終えたナマエが、凝った肩を片手で揉み解しながら呟いた。
『あ、そうだ!ヒヤップ出してよ!』
「何言ってるんですか…」
『人手足りないんだからヒヤップに手伝って貰おうよー…』
「お断りです」
コーンは飽きれた表情を浮かべ、横目でナマエを一度見ると用意したサイコソーダとミックスオレをトレイに乗せホールに戻ろうとした。
『コーンのケチ』
「コーンはケチではありません」
『ヒヤップ出してくれたら食器なんて、あっという間に洗い終わってたのに!』
「全く…」
ムスッと頬を膨らませているナマエを見たコーンはホールへ向けていた足を、キッチンへと向きを戻しナマエの傍に歩み寄る。
「ナマエは馬鹿ですか」
『何で馬鹿になるのよ!?馬鹿じゃないし!』
「ヒヤップを今出してしまったら、ナマエと二人きりじゃなくなるでしょう?」
『へ…?』
コーンの放った言葉を理解することが出来ず、ポカーンと口を開けているナマエの右頬にコーンは軽く口付けた。
「デントとポッドが戻ったらヒヤップを出してあげますよ」
コーンは悪戯に微笑むと再びホールへと向きを変え、先程の女性客のもとへ注文品を運びにキッチンを出て行った。
特 別 な 一 時
(デントとポッドが戻って来てからヒヤップ出して貰っても、あんまり意味ないんですけど…)
ナマエはコーンに口付けられた右頬を掌で押さえながら心の中で呟いた。
--END--
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