「あー、疲れた。…ったく、くだらない戦闘に駆り出されるとはついてないねぇ」
そう小言を呟くのは同じ軍の兵士からも恐れられている魔導士・ケフカだった。ここ数週間の間、戦闘の為に帝国を離れていた。
「ナマエちゃーん、帰ったよ〜」
『ケフカ様!お帰りなさい…!』
自室に戻れば、ケフカを出迎える一人の女性。彼女はナマエと言い、ケフカの部下でもあり将来を約束した恋人でもある。
「変わりはないですか?」
『はい、何も変わった事はありませんでした。…――でも、』
「どうしたの?」
笑顔で出迎えていたナマエの表情は少し曇り、しゅんとしては落ち込んだ様子を見せる。
『その…』
「ナマエちゃん?」
『とても、寂しかったです…』
「ごめんね、」
『そんな、謝らないで下さい!たった数週間だけだったのに寂しくなってしまった私が悪いんです…』
「ナマエ、」
ケフカはナマエの手を引き、自らの身体にぴったりくっつく様に抱き寄せた。
「寂しい思いをさせちゃったね、」
『ケフカ様…』
数週間振りに感じるケフカの温もりや香り。ぽっかりと空いていた穴が一瞬で埋められた様な気分だった。
「次はナマエちゃんも一緒が良いね」
『お邪魔にならないでしょうか…?」
「大丈夫、ぼくちん強いから」
『かっこいいです…』
自分を守りながら戦うケフカの姿を想像するナマエ。その頬はポッ…とピンク色に染まっている。
「今日は二人でゆっくりしようか」
『はい…!』
「ほんっと、ナマエちゃんは可愛いねぇ」
『そんな、照れちゃいます…』
熱く火照る顔を隠す様にケフカの胸元に顔を埋めるナマエ。そんなナマエの頭をケフカが優しく撫でれば、癖のない真っ直ぐな髪が指先に絡み合った。
『ケフカ様、大好きです…』
「ワタシもですよ、ナマエ」
『寂しかったなんて言って、ごめんなさい。もう大丈夫です、ケフカ様にこうして貰えて満たされました』
「…ぼくちんは全然満たされてないですよ?」
『え…?』
「よいしょっと、」
『きゃ…!』
ふわりと宙に浮かぶナマエの身体。掛け声と共に抱き上げられれば、そのままケフカの寝室へと運ばれてしまう。
「寂しかったのはナマエだけじゃなかったって事をたっぷり教えてあげるよ」
『ケフカ様…ッ、』
重なり合う唇、幾度となく角度変えては深くなっていく。この口付けに何度溺れただろうか。そんな事を頭で考えながら、ナマエはケフカに身を委ねたのだった。
足 り な い
(…――たっぷりと満たして貰いますよ、)
--END--
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