『わ、おしゃれ…』
受け取った袋から新しい服を取り出してみると、全体的にグリーンに統一された落ち着いたカラーの服だった。ストライプ柄のジャケットとダークブラウンの膝上までのパンツ。膝上までの長いソックスまで揃えてくれている。
「ナマエさん、まだかなぁ」
『あああ、まだです!まだですからね!』
デントに急かされ、慌てて用意された服に袖を通すナマエ。気になっていたサイズは何故かピッタリだった。
「ヤナ?」
『あ、うん…もう大丈夫だよ、ヤナップ』
「ヤナヤナッ!」
デントを見張っていたヤナップ。ツンツンと後ろを向いているデントの背中をつついた。
「もう良いみたいだね。ありがとう、ヤナップ」
「ヤーナッ」
ヤナップをボールに戻してから、くるりとナマエの方を振り返るデント。
「…――ッ、」
『へ、変ですか…?似合ってますか…?』
「凄く似合ってるよ」
『よ、良かったです…!』
似合っていると言われ安堵するナマエ。ほっと胸を撫で下ろしているとデントが傍まで歩み寄って来た。
「…本当に可愛いよ」
『て、照れますね。あ、えと…素敵なお洋服を用意して下さって本当にありがとうございました。とっても気に入りました。でも、どうしてサイズが分かったんですか…?』
「サイズなんてナマエさんに触れれば直ぐに分かるよ、こうやってね」
『…――きゃ!』
歩み寄ってきたデントに突如抱き締められるナマエ。抱き締められると同時にふわりと漂ってくるデントの香りがとても心地良く感じた。
『デントさん…!』
「こうやってナマエさんを抱き締めれば簡単に分かってしまうからね」
『も、もう…』
「でも、こんな風にナマエさんの事を抱き締められるのは…もう僕だけだから」
ナマエの身体を抱き締めていたデントの腕に少しだけ力が入る。
「大好きだよ、ナマエさん」
『デントさん…』
そっとデントの背に手を回すナマエ。
『私もデントさんの事が大好きです…』
「うん、」
『あの時、ヤグルマの森でデントさんに会えて良かったです』
「僕も同じ事を思ってるよ」
『デントさん、私…』
「ん?」
『デントさんの傍にずっと居ても良いですか…?』
ナマエの問い掛けにふわりと優しく微笑んでみせるデント。それはゆっくりと近付いてはナマエの唇に甘い口付けを落とす。
「…――勿論、」
『良かった…』
「僕もナマエさんの傍に居たいから」
『嬉しいです、』
「僕も凄く嬉しいよ」
ナマエの頭を包み込むように再び自分の胸へ抱き寄せる。ナマエの旋毛に鼻を埋めると微かに残るシャンプーの香りが鼻を擽った。
君 を 護 る た め に
(…――もう絶対にナマエさんを離さないから、)
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