…――冬の星空。
キラキラと夜空に浮かぶ無数の星達がこのイッシュ地方を…この世界を照らしてくれている。
『綺麗…』
「今日は一段と星が綺麗に見えるね」
『うん…』
無限の夜空を見るのは目がいくらあっても足りないくらいだ。
ナマエとデントはサンヨウジムの入り口の前に腰を掛け、その星空を二人で見上げていた。
「ナマエ、あれが何か分かるかい?」
『え、どれ?』
「あの三つ並んだ星だよ」
『あ、あれってオリオン座だよね』
「正解、流石にオリオン座くらいは知ってるよね」
『うん、でも…オリオン座しか分かんないと思う』
「じゃあ、あれは?」
デントはオリオン座を示す指先を左上に少しだけ移動させた。
『え、何だろう…』
「あれは双子座だよ」
『双子座か!全然分かんなかった…』
「ナマエ、見てごらん」
『ん?』
「オリオン座の中で赤く光る星があるでしょ」
『うん』
双子座を示していた指先を再びオリオン座に戻すデント。その中でも一際輝く赤い星を指差している。デントはその指先をゆっくり左下に移動させた。
「この赤い星はベテルギウスって名前でね、このベテルギウスからに左下に移動すると…」
『…あ、また大きな星!』
「うん、これは大犬座のシリウスって名前の星なんだ」
『へぇ〜…』
「更に、このシリウスから左上に移動すると…」
『また大きな星!』
「これは子犬座のプロキオン。この大きな三つの星を結ぶと三角形になるの、分かる?」
『あ、ホントだ。綺麗な三角形が出来る!』
ナマエはデントに説明を受けた後、デントが指で指し示した通りに大きな三つの星を指で追っていった。
「この三角形は"冬の大三角"って言うんだ」
『あ、聞いた事ある』
「有名だからね」
『デントって博識だねー…』
「そうでもないよ。これくらいの事ならコーンだって知ってるし…」
『あー…コーンは何でも知ってそうなイメージだなぁ…』
「確かに、ね。でも、実際に何でも知ってるからなぁ…」
『ねぇねぇ!私、思ったんだけどさ…』
「ん?」
冬の大三角を追っていた指先をオリオン座に移動させるナマエ。ナマエはその指でオリオン座の中心にある三つ並んだ星を指し示した。
『あの三つの星ってさ…』
「うん」
『デント、コーン、ポッドの三人みたいじゃない?』
「え…あ、あはっ…そう言われてみれば…」
『何よ、その微妙な反応…』
「いや、まさか…ナマエがそんな事を言うとは思わなくて…」
『もうッ』
クスクスと笑みを零すデントに、ナマエは両頬をプクーッと膨らまし口先を尖らせた。そんなナマエを見たデントは可笑しく思ったのか腹を抱えて笑い出した。
『デント、笑い過ぎ!』
「あはは、だって…ナマエの顔が可笑しくて…」
『し、失礼なこと言わないでよ…ッ!』
「ゴメ…、でも…ッ」
『むぅうう…』
笑いが耐えないデントに仕舞いには不貞腐れるナマエ。デントは笑いを抑えるべく、数回深呼吸をし息を整えるとナマエの肩にそっと腕を回した。
『…デン、ト…?』
「星も綺麗だけど、僕の中で一番輝いて見えるのはナマエだよ」
『…ッ、』
「あ、ナマエが赤くなった」
『そんなクサイ台詞、よく言えるね…?』
「相手がナマエだから、クサイ台詞でも言いたくなっちゃうんだよ」
『…バカ、』
冬 空 の 下 で
…――この冬空の下で眺める無数の星達が、今日もまた…優しくて暖かい光を放ちながら私達を包んでくれている。
--END--
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