「あー、サッパリしたじょ〜」
『あの…ケフカ様、本当にご一緒に寝ても大丈夫なのですか?』
恋人になった事を機にケフカから以降一緒に寝るように言われているナマエ。その時の気分で言い出したのではないかと、ふと不安になり念の為に尋ねてみる。
「当たり前でしょう。ほら、早く入っちゃって」
布団の中に入るよう促されたナマエは、のそのそとぎこちない動きで寝台に上がる。自分が普段使用していた敷布よりも高級で柔らかな羽毛で作られているのであろう敷布が身体を包み込む。ケフカの寝台に上がるのは此れで二度目だ。
『ふ、ふかふか…』
「そーお?ぼくちんからしたら普通だけど、」
『ふかふか過ぎて眠れるか心配です…』
「その時は強制的に眠らせてあげますよ」
指先をクネクネさせてニンマリと笑えば、ナマエに寄り添うにようにケフカも寝台へ身体を預ける。
『狭くないですか…?』
「ナマエがひとり増えたからって狭くなるようなベッドじゃありませんよ」
『そ、それもそうですね』
ケフカひとりでも大き過ぎる寝台。勿論大人二人になっても余裕がたっぷりとある。ケフカにとってはこれが当たり前なのだろう。
「目が冴えてるようですね」
『あ、はい…緊張してるからでしょうか』
「緊張〜?」
もぞもぞとケフカと向き合うように身体を横に向けるナマエ。
『こうやってケフカ様と一緒に夜を過ごす事には慣れていませんから…』
「ふーん、でも慣れないとねぇ」
『はい、ゆっくり慣れていきます』
「うん、そうしてちょーだい」
『それでもドキドキは一生止まらないと思いますけど、』
愛する男性が目の前に居るのだ。胸が高鳴るのは当たり前。だが、それはナマエがケフカを愛している証拠でもある。
「ナマエ、」
『はい』
「…今日は疲れたでしょう、早めに休みなさい」
『ケフカ様…?』
どうしたのだろうか、ケフカの表情に少しだけ違和感を感じた。また変な事を言われるのだろうかと思ったが、そんな気配は全く無く…。
『どうか、されましたか…?』
「…いーや、何でもないよ。どうかしてるように見えた?」
『少しだけ…』
「ナマエは相変わらず鋭いね、」
『そんな事は…』
するり、と伸びてくるケフカの腕。それはナマエの腰をしっかりと持ち抱き寄せられる。ケフカの胸元にすっぽりと顔が収まればトクトク、とリズム良いケフカの鼓動の音が聴こえてきた。
「どうやったら、ナマエちゃんを閉じ込めておけるかなぁって」
『閉じ…、えぇ…』
「ウヒャヒャッ、冗談だよ」
『本当は冗談じゃないですよね?』
「秘密だよん」
茶化すように答えるケフカ。更に強く抱き締められる。少しだけ苦しく感じてしまう。
『ケフカ様、力入ってます…』
「少しだけ我慢して、」
『…はい、』
ぎゅう、ときつく抱き締められながら、ナマエは少しでも早く眠れるようにと目を閉じる。毎晩こうしてケフカの隣で眠る日が続くのか、と思うと様々な感情が込み上げてきた。
『ケフカ様、おやすみなさい』
「おやすみ〜」
旋毛に口付けが落とされる。一緒に魔法を掛けられたたのだろうか、冴えていたはずなのに段々とウトウトしてきてはケフカの腕の中で夢の世界へ堕ちてしまった。
師 と 私 と 、
「…――良い夢が見れると良いですねぇ、」
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