『うぅ…』



(ポッド君ったら、皆の…それもデントさんが居る目の前で…。どうしよう…、恥ずかしくて心臓がどうにかなりそうだ…)











恥ずかしさの余り、デント達の前から一目散にその場の後にしたナマエ。慌てて向かった先は、勿論自分の部屋だった。ナマエの後を追い掛けたデントは、ナマエの部屋の前でナマエに呼び掛けをしていた。



「ナマエさん、大丈夫かい?」



扉越しに聞こえてくるデントの優しい声に、ナマエはゆっくりと扉の方へ振り返る。




(デントさん、わざわざ追い掛けて来てくれたんだ…)




『だ、大丈夫です…!す、すみません…恥ずかしくて、その…逃げ出して…』

「ううん、気にする事ないよ。あれはポッドが悪いんだし…」

『申し訳ないです…』

「…ナマエさん、扉開けても良いかな?」



デントは扉の向こう側に居るナマエに問い掛けながら、そっとドアノブに手を掛けた。



『で、でも…』



…どうしよう。まだ服が破けたままだし、この格好じゃ恥ずかしい…。しかも相手がデントさんとなると尚更だ…。




「やっぱり、ダメ…かな?」


『ダ、ダメではないんです…!ダメではないんですが…その、まだ服が…ですね、』






…―――ガチャ、





『…え、』




ナマエがウジウジと言葉を紡いでいる最中、突然部屋の扉が開く音が響いた。




『や…ッ!』



扉が開かれると同時にナマエは慌てて扉に背を向ける。

背を向けた状態でうずくまっているとコツコツとデントの足音が近付いて来た。その足音が近付く度にナマエの心拍数も早さも増していく。



「ナマエさん、」



ナマエの肩にゆっくりと下ろされたデントの温かい手。ナマエは一瞬だけビクリとするも、ゆっくりと顔だけをデントへ向けた。



「ゴメン、尋ねておいて許可なく部屋に入っちゃって…」

『デントさん…』

「ナマエさん、着替えは?」

『着替えは…その、今はこれだけしかなくて…』



(嗚呼、こんな事になるなら、ちゃんと着替えとか準備しておけば良かったな…)



「そっか、じゃあ新しい服を用意しないといけないね」

『…え?』

「取り敢えず、着替えは僕が用意するからそれまではパジャマで我慢出来るかな?」

『え、あ…はい…』

「可愛い服、用意してあげるからね」

『で、でも…そんなの悪いです…』

「こうなってしまったのも少なからず僕に原因があるし、ね?」

『デントさん…』



デントさん、やっぱり責任感じてるんだ…。本当は何もかも私の所為なのに…。



『本当にすみません…』

「謝る事ないよ。じゃあ、少し待ってて?」

『は、はい…』




デントはニコリと微笑むと、ナマエの唇に軽く口付けを残し、ナマエの部屋を後にした。




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