「…――そうですか、プラズマ団に…」
「アイツ等、やっぱり街の近くをウロついてやがったんだな」
あの後、サンヨウジムに戻ってきたデントとナマエはコーンとポッドに迎えられ、用意されていた料理を皆で食べながら今までの出来事を話していた。
「ところで、ナマエちゃん」
『はい?』
「さっきから、ずっと気になってたんだけどさ、そのベストのマークって…」
『え、マーク…?』
むしゃむしゃとサラダを頬張るポッドが指差したのは、ナマエが身に着けていたベストだった。洞窟内でプラズマ団から貰ったベストだ。
そして、ポッドに指摘されたナマエ自身もベストの存在を忘れていた様子で、指摘された途端にナマエの顔は茹蛸のように真っ赤に染まってしまう。何故なら、ベストの下はプラズマ団によって服を引き裂かれた状態にあったからだ。
「お、おい…ナマエちゃん?どうしたんだよ?急に赤くなって…」
『あ、いや…その…』
「そのマーク、もしや…」
「そういえば、僕も見覚えがあるな…」
「え、じゃあ、このマークって…」
「プラズマ団のマークですね」
「マジかよ!うわ、見てるだけで苛々する!ナマエちゃん!そんなモン、早く脱いじまえ!」
『えッ!?』
ポッドの一言に、ナマエは顔を赤らめたまま驚いた。
『そ、その…此処ではちょっと…』
「何でだよ?だって、プラズマ団の物なんだぜ!ほらッ!」
『え、や…!ちょっと…ッ!』
「こ、こら…ポッド!やめなさい!」
気になっていたベストがプラズマ団の物であると知ったポッドはベストのジッパーに手を伸ばし、無理矢理降ろしてしまう。その瞬間、ナマエの隣に座っていたデントとナマエの向かいに座っていたコーンが目を丸く見開きながら驚いていた。
「こんなモン、いつまでも身に着けてたらナマエちゃんも俺等も気分良くねぇからな」
『・・・ッ、』
「ナマエ、ちゃん…?」
良い事をした時のような気持ちの良い気分に浸っているポッドとは間逆に、ポッドからベストの胸元を開かれてしまったナマエは両手で胸元を押さえ、少し屈み込むような姿勢を取るとプルプルと小刻みに肩を震わせていた。
そんなナマエの様子に、ポッドは何が何だか分からないらしくキョトンとした表情を浮かべている。
「ポッド、コーンはもう知りません…」
未だに状況を把握していない様子のポッドに、コーンは呆れた表情を浮かべながらポッドに言い放った。また、コーンの頬は少しだけではあるが、ほんのりとピンク色に染まっている。
「な、何だよ?もう知らないって…つか、何でコーンまで赤くなってンだ?気持ち悪ぃな…」
頬をピンク色に染めるコーンに対して「変な奴」と、気楽に口にするポッドであったが次の瞬間、ポッドは地獄を見る破目になった。
『ポッド君…』
「ん?何だ…って、え…ちょッ――…ギャァアアアッ!?」
この瞬間、サンヨウジム内にバチィイイン!と頬を叩く音と、ポッドの甲高い悲痛な叫び声が響き渡った。
『ポッド君のエッチ!スケベ!変態ッ!』
「な、なな…ッ!?」
ナマエは恥ずかしさのあまり、慌てて席を立ち上がると、その場を後にし自分と部屋へと逃げ込んでしまった。ナマエがその場から逃げ出してしまうと、その後を追い掛けるべくデントも慌てて席を立ち上がり、その場を後にした。
一方で頬にビンタを喰らい"エッチ、スケベ、変態"と言われてしまったポッドは、叩かれた頬を押さえながら一体何が起こったんだ、という表情を浮かべていた。
君 を 護 る た め に
「全く、何やらかしてるんですか…」
「お、俺…何かした…?」
「まだ気付いてなかったんですか?」
「え…、気付いてないって…?」
「ナマエさんの服ですよ、服!」
「服…?」
「ポッドはナマエさんの服が破れていた事に気付かなかったんですか?」
「えッ!?」
「…呆れた、」
「マ、マジかよ…」
頬を押さえていた手を離した先にはナマエの手の形がくっきりを刻まれており、更に赤く腫れ上がっていた。
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