『デントさん…デントさんは、どうして私の事を好いてくれているんですか?』



ナマエはデントの胸に両手を添え、デントとの距離を少しだけ置き、目を閉じたままデントに問い掛けた。



「…ナマエさんと初めて出会った時、僕は未だナマエさんの事なんて何も知らないまま、唯のお人好しというだけでナマエさんを助けジムへ招いたんだ。その時はナマエさんに対して特別な感情なんて抱いてなかった…。だけど、ポッドがナマエさんと仲良くしている姿を見て、僕は嫉妬し…初めてナマエさんの事が好きなんだって気付いたんだ」



何処か切なそうにしながらも、静かにナマエの問い掛けに答えるデント。



「感情任せにナマエさんを問い質した事は今も後悔しているよ…。あの時の僕は正直焦ってたんだ。ポッドにナマエさんの事を先に取られてしまうんじゃないかってね…。あんな形で告白してしまった自分が本当に情けないよ…」



そう言ってデントはキュッと唇を噛み締めると少しだけ目を伏せた。そんなデントにナマエは無言のまま、ゆっくりと顔を近付け静かに口付ける。その瞬間、デントは伏せていた目を大きく見開いた。

更にその場に居たポッチャマもナマエがデントにキスをした事に驚いたようで「ポチャー!?」なんて叫びながら両方の翼で目を塞いだ。



「・・・ッ!?」



…――触れるだけのキス。

数秒間、口付けを交わした後、ナマエは重ねていた唇を離し微かに微笑んだ。



『これが今の私の気持ちです…』

「…ナマエさん、」

『ちゃんと伝わったか不安なんですけどね…』



照れ臭そうに笑うナマエに、デントは嬉しそうに…そして愛おしそうにナマエを見つめ、今度はデントからナマエに口付けを送った。



「…ナマエさん、君の気持ちはちゃんと伝わったよ」

『デントさん…』

「だけど、僕としてはナマエさんの気持ちをナマエさんの言葉で聞いてみたいな」

『は、恥ずかしいから…』

「キスの方が、もっと恥ずかしいと思うんだけど…」

『そ、それは言わないで下さい…!』



デントの一言にナマエの顔はボッと真っ赤に染まる。そんな二人の様子を二人の傍らでジッと眺めていたポッチャマが少し呆れた様子でナマエの服を軽く引っ張った。



『ポッチャマ…?』

「ポーチャ!ポチャポチャポーチャー!!」



ポッチャマは何やら興奮しながら洞窟の出口の方へ翼を向けている。



『ポッチャマ…もしかして「帰ろう」って言ってるの?』

「ポチャッ!」



ナマエの言葉にポッチャマは大きく首を縦に振った。どうやら、ナマエのポッチャマはその場の空気なんて更々読む気はないらしい。



「ポッチャマの言う通り、帰ろうか…ナマエさん」

『デントさん…』

「コーンとポッドが心配して待ってるだろうし…ね?」

『は、はい…』



デントとナマエは共にその場から立ち上がると、洞窟の出口へ向って歩み始めた。











(ポチャポチャ、ポーチャ!)

(訳:色々疲れてお腹空いた!)





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