『ケ、ケフカ様…後ろを向いては頂けませんか…?』

「どーしてぇ?恥ずかしいのが理由ならば後ろは向けませんねぇ」



半ば強引にバスルームへ連れて来られたナマエ。風呂に入るならば服を脱がねばならない。ナマエが予想していた通り、ケフカはナマエが脱衣する場面を拝むつもりでいた。

ナマエは身に纏う法衣を胸元でギュッと握り締めたじろいでいる。しかし、このままで居るのには限界があった。





師 と 私 と 





「ほら、早く脱いでちょーだい」

『う…、』

「なんなら、火傷しない程度にその服を燃やしてあげましょーか?」

『…――ッ、脱ぎます!脱ぎますから…ッ』



冗談ではないであろうケフカの言葉に慌てて法衣を脱ぎ始めるナマエ。その手元は少しだけ震えている。ナマエは羞恥心に駆られながらも、ゆっくりと身に纏うそれをスルリと床に落としていく。その光景にケフカは満足そうな表情を浮かべていた。



「堪りませんねぇ、徐々に露わになっていくナマエの身体を見ていると興奮してしまいます」

『・・・ッ、』



ナマエは熱く火照る顔を伏せながら下着に手を掛ける。最後の一枚がナマエの身体から離れると、ケフカは腕を伸ばし首元から臍下の間に長い爪先を這わせた。



『ん…ッ、』

「おやおや、たったこれだけの事で声が漏れてしまうとは…」



言葉とは裏腹にケフカの表情はニヤニヤと妖しい含み笑いを浮かべている。



『お、風呂…ッ、入らないんですか…』

「嗚呼、そうだね。んじゃ、入りましょっか」



伸ばしていた腕を引けば、色鮮やかな道化の衣装を脱ぎ始めるケフカ。ケフカの真っ白な肌が露わになっていく姿に見惚れてしまうナマエ。華やかな髪飾りも外されてしまえば金色の細い髪が下ろされる。



「なーに見惚れちゃってるの」

『え、あ…』

「美し過ぎるって罪だねぇ、」



そう言いながら、再びナマエの身体を抱き上げると広い浴室の中に脚を踏み入れるケフカ。大人二人が有に入れるであろう大きなバスタブには既に湯が張られている。

ナマエを抱えたまま湯船にゆっくりと浸かっていくケフカ。少し熱めのお湯だった為、ナマエは反射的にケフカを掴む手に力が篭った。



「熱いですか?」

『いきなり浸かったので身体が慣れてなくて…』

「直ぐに慣れるでしょう」

『はい、もう大丈夫です』



二人が浸かった事によって浴槽から溢れて流れ出ていく湯を横目に、ナマエは口元まで湯に浸かるとブクブクと空気を泡に変える。



「どうしました?」

『…反則だな、と』

「反則?」



ナマエは少し滴るケフカの金色に手を伸ばす。普段は髪を上げて結っている為にこんな姿は見た事がなかった。柔らかい毛先に指を絡めると、ナマエは小さく溜め息を零した。



『はぁ…』

「何々、溜め息なんて吐いてどうしちゃったの?」

『普段も充分綺麗なのに、今目の前に居るケフカ様も綺麗で…何だか羨ましいなぁって、』



女性であるナマエから見てもケフカは美しく感じた。それもまた魅力なのだが、自分もケフカのように綺麗になれたらな…と心の隅で思ってしまうナマエ。ケフカはそんなナマエの顔をクイ、と片手で掴み上げた。



「何を言ってるんですか、ナマエは綺麗ですよ」

『…そうでしょうか、』

「ま、ぼくちんには敵わないかもだけど」

『ふふ、確かに…』



ケフカの言葉に笑みを零せば、釣られてケフカもニンマリと口端を上げた。そして、次いで落とされる口付け。触れるだけの優しい口付けだった。


そのまま暫く湯船に浸かり、のぼせる前にと再びケフカがナマエを抱き上げバスルームを後にした。



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