ナマエの身体を縛る縄が解かれるとプラズマ団員達は一斉にモンスターボールを片手に構えた。



『…警戒しなくても大丈夫ですよ、変な気は起こしませんから』



そう言いながら、ナマエは自由になった身体をゆらりと立ち上がらせ、プラズマ団員達に視線を送った。











『あの…』

「何だ?」

『何か羽織る物はありませんか?このままの姿で彼に会うのはちょっと…』



ナマエは立ち上がるなり、先程破かれてしまった衣服の上に手を置いては何か着る物はないかと尋ねた。流石にこの格好のままでデントに会うのはマズイと思ったのだろう。



「羽織る物なぁ…」

「じゃあ、アタシのベストを使いなさい」



通称プラズマ団のおじさんがキョロキョロと周囲を見渡していると、その後ろで見張りをしていたプラズマ団員の女性が自分が着用していたベストを脱いではナマエに差し出した。胸元部分にはプラズマ団のロゴマークが刻まれている。



「隠すなら、これで充分でしょ?」

『はい、有難う御座います』

「良いのよ。その代わりにアンタにはしっかり働いて貰うから」

『・・・、』



ナマエは渡されたベストを着用しジッパーを上げると一歩前へ足を踏み出した。



「テスト開始だな」

『…はい、』

「まずはこの場所から奴の元へ向かう。見張りからの連絡では、この先の水辺を渡った先に奴が居るとの情報だ」

『そうですか、』



(デントさん…もう、そんな近くにまで来てたんだ…。でも、良かった…まだ無事で…)



『水辺はどうやって渡るんです?私には無理ですよ?』

「水辺に関しては俺達が渡らせてやるから安心しろ」



そう言って、プラズマ団達の一人がモンスターボールを水辺に向けてムーランドを繰り出した。どうやら、このムーランドは"なみのり"が使えるらしい。

ムーランドを繰り出した後、プラズマ団員はムーランドの背中に乗るよう、ナマエに指示を出した。指示を出されたナマエは首を縦に頷かせ、ムーランドの背中にゆっくりと跨った。続けて、ナマエの後ろにプラズマ団員が一人跨ると、ムーランドは水面をゆっくりと前進し始めた。









*****





「もう大分歩いたはずなんだけどなぁ…」



地下水脈の穴に入ってどれくらい経っただろうか。洞窟故に景色なんて全く変わらない…正直、飽きてきた…というのが本音。しかし、この先にナマエが捕まっている以上、引き返す訳にはいかない。最深部には近付いているのは間違いないはず。後どれくらい掛かるかは分からないけれど、現状ナマエを助け出せるのはデントしか居なかった。





「ナマエさん…どうか、無事で居てくれ…」








『私なら無事ですよ』








「…――!?」





デントは一瞬…否、暫し目を疑った。





「な、何で…ナマエさんが此処に…!」





…――デントの目の前に立っていたのは紛れもない、ナマエの姿だった。





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