「ポチャ〜…」
『おはよう、ポッチャマ』
「ポチャポチャ…」
『まだ眠そうだね』
「ポチャ…」
コーンさんが部屋を出てから程なくしてポッチャマが目を覚ました。まだ眠たいのか小さな翼で目を軽く擦りながら嘴を大きく開けて欠伸をしている。
『ポッチャマ、朝御飯の用意が出来てるんだって』
「ポチャー?」
『美味しいポケモンフードが待ってるかもよ?』
「ポチャッ!?」
嘘か真かも分からないような事を言ってみるとポッチャマの大きな黒目がキラキラと光る。これでも結構食いしん坊なのだ。
『さ、行こっか』
「ポチャ!」
君 を 護 る た め に
私はポッチャマを抱き抱え、昨夜ケーキを御馳走になったダイニングへ足を向かわせた。部屋を出ると長く、そして広い廊下が…。案内してくれる人が居ないと間違いなく迷ってしまうだろう。
ダイニングまでの道順は何とか覚えていた為、途中で迷う事なく無事に到着する事が出来た。ダイニングの入口である扉もこれまた大きな扉だ。
『お、お邪魔しまーす…』
ナマエは念の為に扉を数回ノックしてから「お邪魔します」の声と同時に扉をゆっくり開けた。扉が開けば、その隙間から朝食の良い香りが漂い鼻を擽る。
「あ、おはようさん!ナマエちゃん!」
『おはよう、ポッド君』
一番に出迎えてくれたのはポッド君だった。彼も寝起きなのだろうか、深紅の綺麗な髪が若干乱れているように見えた。
「お、そのポケモン!」
『ポッチャマだよ、可愛いでしょ?』
「ポチャーッ!」
「うわー、初めて見たぜ!ナマエちゃんのポケモンってポッチャマだったんだな!」
ナマエの腕に抱かれたポッチャマを見るなりポッドは初めて見るポッチャマの姿に少し興奮気味の様子。
「まんまるして可愛いじゃん。あ、俺はポッドって言うんだ!よろしくな、ポッチャマ!」
「ポチャポーチャ」
(良かった、ポッチャマもポッド君も仲良さそうで…)
「おはよう、ナマエさん」
ふ、と背後から声を掛けられ、背後に振り向けばデントさんの姿があった。
『デ、デントさん!おはよう御座います!』
「そんなに驚かなくても…」
『ゴ、ゴメンなさい…急に背後から声がしたものですから…』
「あはは。それより朝食どうする?」
『あ、頂きます!』
「それじゃ、少し待ってて?ナマエさんとポッチャマの朝食、運んでくるから」
そう言ってデントさんはキッチンに向かい、私とポッチャマの朝食に取りに行ってくれた。既に用意は出来ていたようで、デントさんは直ぐに戻って来た。右手には私の分と思われる色鮮やかなサラダや小さなオムレツに焼き立てのパンが乗ったプレート、左手にはポケモンフード。
「お待たせ。どうぞ召し上がれ」
『わぁ、美味しそう』
「ポチャーッ!」
『頂きまーす』
「ポチャチャー!」
早速食べ始めるナマエとポッチャマの姿をデントは微笑ましそうに向かいの席から眺めている。
『とっても美味しいです!ね、ポッチャマ!』
「ポチャッ!」
「それは良かった。ところでナマエさん」
『はい?』
「今日、少しだけ僕に付き合って欲しいんだけど駄目かな?勿論、ポッチャマも一緒に」
「ポチャ?」
『何処かに行くんですか?』
「うん、デートのお誘い」
『ぶっ…!』
「ゴメン、今のは冗談…」
(今のタイミングで冗談でも「デート」なんて言われたら流石に驚くよ…!)
『冗談でも今のはナイですよ…!』
「ゴ、ゴメン…でさ、付き合って貰えるかな?」
『ええ、私は構いませんけど…』
どうせ、やる事もないし…どっちかっていうとデントさんにお世話になってる身だからな…。言ってしまえば断る理由がないのだ。
「良かった。それじゃ13時になったら部屋に迎えに行くよ」
『分かりました』
(一体、何処に付き合わされるんだろう…?)
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