「何だか、あの二人…妙に仲が良いですね」
再度、部屋の掃除をしに向かったナマエとポッドの後ろ姿を視線だけで追う、残されたコーンとデント。二人の姿を見たコーンが意味有り気な言葉を呟いた。
「…そうかな?」
「いつの間にか、ポッドの事だけ君付けで呼んでますし」
「・・・、」
コーンの言葉にデントの表情が少しだけ沈む。その表情をコーンは見逃さなかった。
君 を 護 る た め に
一方、ナマエとポッドは部屋の掃除を着々と進めていた。掃除を開始した当初に比べると、かなり綺麗になっている。
「何とか今日中に終わりそうだな」
『うん!有難う、ポッド君』
「礼は良いって!一人じゃ絶対片付けられなかっただろうしな」
『だね、』
掃除も最終段階に入り、ポッドはナマエが部屋で過ごし易いように家具の位置等のレイアウトを考えている。時折、ナマエの意見も聞き、その意見を成るべく取り入れようと心掛けていた。
「ベッドは窓際が良いか?」
『うん、そうだね。朝の日差しが入って来る方が目覚めも良いと思うし』
「おう、了解!」
(ポッド君って外見で判断すると少しだけ軽そうな感じがするけど実際は凄く頼りになる人なんだなぁ…)
*****
…―――ダンッ
あの後、デントは一人自室に戻ると暫く立ち尽くした状態で、突如思い切り壁を勢い任せに拳で殴った。
…――勿論、ナマエとポッドが居る部屋は二つ先だった為、二人には壁を殴る音など一切聴こえていない。
「…ッ、僕は一体何を焦ってるんだ…」
(焦る理由なんて無い筈なのに…何故焦ってるんだ…?)
ナマエさんとポッドが二人で居る姿を見ると、今までに経験した事のない違和感が胸に残る。理由は僕にも分からない。ただ、今はっきりと分かるのはナマエさんの傍にポッドが居る時だけ、この違和感が現れるという事のみ。
「ま、まさか…」
否、そんなはずはない…。
あれはナマエさんが困っているように見えて放って置けなかっただけであって。だけど、見ず知らずの他人を助ける為とは言え、今更だが僕のした事は普通とは思えない。
(…――嗚呼、そうか。僕はナマエさんに恋をしてしまったんだ…)
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