少し休んだら、直ぐにでもデントさんとサヨナラしようと思ってたのに…。まさか、暫くの間…此処でお世話になる事になってしまうなんて。

まぁでも、デントさんの言う通りイッシュ地方の地理には詳しくないし、きっと次の街を目指しているうちに迷ってしまう可能性も否定出来ない。

それに、その途中でプラズマ団と遭遇してしまったらまた今日みたいにポケモンを狙われしまうだろう。結局は同じ事を繰り返す事になってしまう。

やっぱり此処はデントさんに従うしかない…。何というか、自分が情けなく感じる…。











「そうなると、ナマエさんの部屋を用意しないといけないね」

「確か、一番奥の部屋が空いていると思いますよ」

「じゃあ、そこに決まりだね」

「けどよ、その部屋って今は物置状態だから掃除しないと使えないぜ?」

「使えないと知っているなら、ポッドが掃除してあげれば問題ないのでは?」



コーンから鋭いツッコミを受け、思わず眉間に皺を寄せ「う…」と小さく唸るポッド。



『あ、あの…掃除なら自分でしますから!』

「でもよー、無茶苦茶散らかってるぜ?」

「ならば、ポッドが手伝ってあげれば良いのでは?」



再びコーンからの鋭いツッコミ。流石に観念したのか無言で掃除道具を取りに行くポッド。その後を追うようにナマエも足を急がせた。



「ナマエさーん、ポッドに襲われないように気を付けて下さいねー」

『え…?』

「うるせェぞ、コーン!襲うわけねェだろ!」

「冗談ですよ…、野犬みたいに吠えないで下さい」



もしかして、ポッドさんとコーンさんって仲悪い…?コーンさんが好きでからかってるようにしか見えないけど…。

ナマエはデントとコーンを部屋に残し、これから利用する事になる部屋を掃除しにポッドと共にデントの部屋を後にした。



「いつも思うけど、コーンはポッドと仲良しだよね」

「何処が仲良いんですか、寧ろ悪いでしょう…」

「僕は仲良さそうに見えるけどね」

「デント、一度眼科に掛かった方が良いですよ」







*****






『ポッドさん…』

「あのさ、さん付けで呼ぶの何かムズムズするから止めてくれねぇか…?」

『あ、えと…じゃあポッド君?』

「まぁ、さん付けよりはマシだな。ンで、何だ?」

『あの…私、お邪魔じゃないんですかね…?』



ナマエはポッドから渡されたホウキをギュッと握り締め、不安そうな表情でポッドに問い掛けた。

三人とも親切で此処に居させてくれるって決めてくれたけど…やっぱり私が居るのは邪魔な気がしてならない。

不安そうに床の方へ俯くナマエを見たポッドはナマエの頭にポンと大きな掌を乗せた。



「余計な心配は要らねェって!俺達が良いって言ってんだからよ」

『そう、ですか…』

「少なくとも俺は少しでも長くナマエちゃんに居て貰いたいと思ってるぜ」



ポッドはナマエの髪をクシャクシャにしながら、ナマエに向けてニッと白い歯を見せ微笑む。その笑みを見たナマエは、少し安心したのかポッドに釣られるように薄く微笑みを浮かべた。



『有難う、ポッド君…』

「何も心配する事はねェからな?」




(…――何だろう、この気持ち…。ポッド君と居ると心が落ち着くような気がする…)




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