『あはは!擽ったいよ、ヤナップ』

「ヤナヤナッ!」



コーンとポッドを部屋に招き入れ、ナマエとヤナップの元へ戻るデント。ナマエとヤナップはソファーの上で二人仲良くじゃれ合っていた。











「ナマエさん」

『あ、はい!』



ヤナップとじゃれ合っていると戻ってきたデントに声を掛けられ、ハッとした表情を浮かべるナマエ。同時にソファーへ座り直すと姿勢を正し、膝の上にヤナップをちょこんと座らせデントに向き直った。



デントさんの隣に居る男の人、さっき店内に居た人達だ…。一体誰なんだろう…?背丈も同じ位だし、雰囲気も何処となく似てるような気がする…。



「ナマエさん、彼等を紹介するよ。こっちがポッ――…」



デントが深紅色の髪色をした青年を紹介しようとすると、その青年がデントの前に出て来た。



「自己紹介なら自分で出来るぜ!という事で俺はポッド!んで、こっちがコーン」

「何でポッドがコーンの事まで紹介するんですか。コーンだって自己紹介は自分で出来ます」



真っ青な髪色をした青年がポッドに向けて鋭い視線を送る。



「いや、何かコーンが自分で自己紹介すると面倒になりそうだったからさ…」

「ど、どういう意味ですか!」

「ま、まぁまぁ…二人とも落ち着いて…」



ポッドとコーンの遣り取りに苦笑いを浮かべながら、再度二人の止めに入るデント。

そんな三人を目の前にナマエはポカーンと小さく口を開けていた。



「ゴメンね、ナマエさん。彼等は僕の兄弟なんだ」

『き、兄弟!?』

「それも三つ子なんだぜ!凄ェだろ!」

『み、三つ子ォオ!?』



ど、通りで三人とも雰囲気が似てるわけだ…。成る程、三つ子って事なら納得出来る…。



「ところでデント、彼女とはお知り合いで?」

「あ、まだ紹介してなかったね。ナマエさんって言って、ヤグルマの森で出会ったんだよ」

『は、初めまして…!ナマエと申します!』



ナマエは膝に座るヤナップを抱き、慌ててソファーから立ち上がると、ポッドとコーンに向けてペコリと頭を下げた。



『えと、プラズマ団に追われてるところをデントさんに助けて貰って…、それで…』

「プラズマ団に?デント、プラズマ団に会ったんですか?」

「うん、偶々ね。実際にナマエさんを見つけたのはヤナップなんだけど…」

「ナップ!」

「ふーん…、そうだったのか。つーか、デントのヤナップ…偉くナマエちゃんに懐いてンじゃねェか」



ナマエに抱かれたヤナップの頬をムニッと引っ張るポッド。

しかし、引っ張られたのが嫌だったのか、ヤナップは頬を引っ張るポッドの手をバチンッと叩いた。

手を叩かれ痛がるポッドを見たデントとコーンは呆れた表情を浮かべている。



「痛ッ!」

「ポッドが頬を引っ張るからだよ…」

「頬なんか引っ張られたら、誰だって嫌がるに決まっているでしょう…」





『ぷッ…、三人とも仲が良いんですね』





「「「え…?」」」



ナマエの言葉を聞いた三人の声が綺麗揃う。流石、三つ子…と言ったところだろうか。



『あ、ゴメンなさい…!つい、思ってた事が口に…』



思っていた事を口に出してしまい、慌てて口許を片手を押さえるナマエ。そんなナマエに三人は無言で互いの顔を合わせている。



「ま、まぁ…事情は分かりました。要はプラズマ団に追われたナマエさんをデントが助け、放っておけずに此処へ連れて来た…、という訳ですね?」

「うん、大体合ってるかな」

「なぁ、デントー。ナマエちゃん、少し休んだら行っちまうのか?」

『も、勿論…!私はそのつもりです!ね、デントさんッ?!』



これ以上、デントの迷惑になる訳にはいかいないと常に思っていたナマエが口を挟む。

しかし、ナマエの言葉を聞いたデントはニコニコと微笑みながら言葉を紡ぎ出した。



「ナマエさんには暫く此処に居て貰う事にするよ。イッシュ地方に来たばかりで地理も把握していないだろうし、まだ街の外にプラズマ団が居るかもしれない。見つかれば、また襲われる事になるかもしれないからね」

『うぇぇえッ!?』

「ふむ…、デントの言う事にも一理ありますね。分かりました、それはそれでコーンは構いませんよ」

「よっしゃ!俺も大賛成だぜッ!」

『ち、ちょっと…勝手に話を進めないで下さい…!』

「という訳で…これから宜しくね、ナマエさん」



三つ子のペースに呑まれ唖然としていたナマエに笑顔のまま握手を要求するデント。ナマエも差し伸べられたデントの手を握らざる得なかった。





(何でこうなっちゃうの…ッ!)





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