ポケモンセンターを後にしたナマエとデントはジムへ真っ直ぐ向かっていた。
『デントさんのジムってどんな感じなんだろ…』
「気になる?」
『え、まぁ…』
「着いてからのお楽しみって事で」
君 を 護 る た め に
ポケモンセンターから少し歩くと大きな建物が見えてきた。この建物がデントさんのジムなのだろうか…?
「此処だよ」
『おっきー…』
目の前に聳え立つデントのジムを下から上へ見渡すナマエ。
「さぁ、どうぞ」
デントはニコニコと笑みを浮かべながらジムの扉をゆっくり開いた。
『お邪魔しま――…!?』
ジムの扉が開かれると予想外な光景がナマエを待ち侘びていた。
無数に並ぶテーブルと椅子。そのテーブルには数名の女性達が座っており一部は食事を楽しんでいるようだった。
そして、奥の席近くに立つデントと同じ格好をしたウェイターらしき人物が二人。
『な、何ですか…此処?』
予想外の光景に目を丸くするナマエ。
(こ、此処がジム…!?どう考えてもレストランじゃない…!)
戸惑う様子のナマエに奥にいたウェイター二人が近付いてきた。
「ウェルカム!」
「いらっしゃいませ。お席へ御案内致します」
『え、ちょ…!』
デントと同じ背丈くらいの青年二人。一人は深紅の髪を立てた青年、もう一人は真っ青なストレートの髪で右目を長い前髪で隠している青年だった。
このレストランと思われる店員なのだろうか…?ナマエは青年二人に両腕を組まれ何故か空いたテーブルへと連れて行かれ半強制的に座らされた。
「御注文は何に致しますか?まずは冷たい御飲み物なんて如何です?」
『え、いや…あの…』
「ディナーの御用意も出来てますよ!」
『や、えっと…』
「はいはい、その辺にしておいてあげてくれないかな」
ナマエと青年二人の遣り取りを暫く眺めていたデントが漸く二人の止めに入る。
「デント、今まで何処で何をしていたんですか?」
止めに入ったデントに振り返り問い質す真っ青な髪をした青年。
『デ、デントさん…一体これは…?』
「ゴメンね、ナマエさん。驚かせてしまったみたいだね」
「おい、デント。この子と知り合いなのか?」
「それも含めて後で詳しく話すよ」
周囲の視線が気になっているナマエを察したのか、デントはナマエの腕を持ち席から立ち上がらせた。
「疲れてるでしょ?少し休んだ方が良いんじゃない?」
『え、でも…』
「コーン、ポッド。営業終わったら僕の部屋に来てくれるかな?」
デントの言葉に青年二人はお互いに顔を合わせ不思議そうな表情を浮かべていた。
「分かりました」
「了解。けど、店忙しくなったら戻って来いよな」
「うん、忙しくなったらね。それじゃ行こうか、ナマエさん」
『は、はい…』
青年二人から突き刺さるような視線を背中に感じつつもデントに手を引かれ、その場から移動するナマエ。
(デントさんって本当にジムリーダーなのかな…?どう考えても此処ってレストランじゃない!本当に大丈夫なのかなぁ…)
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