「その様子じゃ、行く当てはなさそうだね」

『うぅ…』

「もう陽も暮れるし、ジムにおいでよ」



デントは握っていたナマエの手を引き森の出口を目指した。











『あのー…デントさん…』

「んー?」

『ジムリーダーって本当なんですか?』



ナマエはデントに手を引かれながら、自身の目の前を歩くデントに尋ねる。


確かに強かったけど…、強いからってジムリーダーとは限らない。それにウェイターの格好してるし…。


今の外見だけじゃジムリーダーとは信じ難いのが事実だ。



「あれ、もしかして…僕疑われてる?」

『あ、いえ…そういう訳じゃ…』



デントの言葉に少々慌て気味のナマエ。そんなナマエにデントはニコリと笑みを向けた。



「街に着いたら本当かどうか、ナマエさん自身で確かめてごらん」

『は、はぁ…』



この後、私はデントに手を引かれ続けられたまま陽が暮れる前に森を出た。

ヤグルマの森を抜けると直ぐに街の明りが目に入る。何故だろう…、街の明りがとても懐かしく感じる。今日一日、プラズマ団に追われて必死だったからかな…?

そう考えると急に肩が重くなり疲労感と倦怠感がナマエを襲った。



『はぁ…』

「ナマエさん、大丈夫…?」

『は、はい…ッ、平気です…』

「全然平気そうには見えないけどね」



デントはナマエの顔を見るなり苦笑いを浮かべた。



「顔色、凄く悪いよ?」

『き、気のせいですよ…』

「さっきよりも歩く速度が遅くなってきてるしね」

『本当に平気ですから…』

「顔真っ青にして"平気"なんて言われても信じられないよ」



デントはサンヨウシティに向けて進めていた歩を止め、ナマエに背を向けたまま目の前でしゃがみ込んだ。



「ほら、乗って」

『ぅえッ…!?』

「街に着くまで僕が背負ってあげるからさ」

『け、けけけ結構ですッ!』



デントの好意にブンブンと首を横に大きく振って拒否を示すナマエ。



「今のペースで歩いてると街に着く頃には真っ暗になってると思うし、ね?街の入り口のゲートで下ろすから、それまで辛抱してくれないかな…?」

『でも…私、重いですよ…?』

「外見で判断させて貰うとナマエさんは標準体重だと思うけどな」

『・・・ッ!』




…――図星だった。身長からして私の体重は標準に値する。デントさん、何で分かったんだろう…?恐ろしい…。



「大丈夫、絶対重くないから。…さぁ、乗って」

『…失礼します。お、重かったら直ぐ降ろして下さいよ!』

「うーん、それは約束出来ないなー」

『そこは約束しましょうよ…』

「約束する程の事でもないから、しないよ」

『そ、そんなぁ…』



何だかんだでデントさんに逆らえない私って一体…。



ナマエは目の前にしゃがみ込むデントの背中に自身の身体を預ける事にした。

…――サンヨウシティまで、もう少しの距離だ。





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