鳴り止まぬ雨。時折、落雷の音が聞こえてくる。ここ数日、サンヨウシティの天気は荒れ模様だった。
「雨、どんどん酷くなってるね」
窓越しに外を確認するデント。
『全然止む気配なさそう…』
「晴れてたらナマエとデートしようと思ってたんだけどな」
『ふふ、ホントに?』
デントは窓のカーテンを閉め切るとナマエが座っているソファーに腰を下ろした。
「本当だよ、その為に今日は休みを貰ってたんだ」
『そうだったんだ…ありがとう、デント』
「お礼を言われる程の事でもないよ、気にしないで」
デントの少し大きな手がナマエの頭を覆う。その暖かな手は優しく左右に動いた。
『私、雨でも幸せだよ』
「…ん?」
ナマエの言葉にデントは首を傾げ、不思議そうな表情を浮かべている。
『だって、傍にデントが居るから』
そう言いながら、ナマエはデントの肩に頭を寄せた。
『私はデントと一緒だったら何処だって良いの。だから、こうやって二人きりで部屋でのんびりするのも幸せ』
「…ナマエ、君って子は平気でそういこと言って…」
『え?何か変なこと言ったかな?』
「自覚ないって怖いよ」
デントはナマエの肩に手を回すと、より密着するように抱き寄せる。
「僕もナマエが傍に居ると幸せな気分になれるよ」
『本当?だったら嬉しいな』
「本当さ」
ちゅ、と目の前にあった頭部に口付けを落とすデント。ナマエは肩に乗せていた頭を起こすと顔を上げデントを見上げるように見つめた。
『…こっちにして欲しいな』
片手の人差し指で自身の唇を指差すナマエ。すると希望通りに唇が塞がれた。触れるだけの優しい口付け。
『…ん、』
「…、ナマエがそんなんだと僕持たないかも」
『え?』
デントの言葉にキョトンと首を傾げるナマエ。
「我慢出来なくなるよって事さ」
そのままナマエを抱き締めると、デントの身体が下になる様に寝転んだ。
『わッ、デント…お、重くない?』
「全然だよ、ナマエは軽いから」
『嘘だぁ…』
ナマエはデントの身体から離れようとソファーに手を付いたが、それはデントに妨げられてしまう。しっかりと抱き締められてしまい、どうする事も出来ない。
「だーめ、逃がさないよ」
『も、もう…潰れても知らないからね』
ナマエは観念したのか、デントの胸元に頭を預けた。サラサラの髪をデントと指が何度も通り抜けていく。
「本当、幸せだな…」
ふ た り な ら
(…――私だって、デントの傍に居られて幸せだよ)
--END--
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