結局あのあとは私を家まで送ってくれて、
なんかリアルにカレカノっぽいんですけど…!とドギマギしたのも束の間。


その後何もなく、


何もなくって言うのは進展がなかったとかじゃなくて、ほんとにもう会ってないし話してないし、あの日の事なんてなかったみたいに3日くらい過ぎようとしていた。


やっぱあんな漫画みたいな話あるわけないんだよ。カヲル…渚くんも言ってみただけだったんだよ。
私ってばからかわれたのかも………


移動教室のときや窓から見えるグラウンドの体育の風景の中に彼を見つける度にドキッとしてるのは私だけなんだなー多分…。


ぼんやり歩いてると目の前にさっきから探していた人物を発見。

「レイ!」
「…なまえ。」
「はいっこれ借りてた教科書。ありがとー助かったよ〜。」
「そう。」
「レイも忘れたときは私に言ってね。まあ、レイは忘れたりしないかもだけどー。」
「…ありがとう。…嬉しい。」


少しはにかんだレイに癒される。
レイとは、体育で一緒に見学したとき、ちょっとお話してから仲良くなった。(と私は思ってる。)


それからクラスが違うから教科書借りたり、すれ違ったら挨拶するだけの仲だけど、他の人よりは私が多く話してるんじゃないかな〜という優越感。


でもレイのクラスには渚くんが居るので教科書返しに行くのにもたもたしていた。偶然見つけて良かったー…。


「…聞きたいんだけれど、」
「んっ?なに、珍しいね、どうしたの?」
「…あの人、フィフス…渚くん、が言っているなまえって…なまえのこと?」


……………????????


「ん………?ん?レイちゃんなにそれ…どいうこと?」
「違うの?」
「違うってか…言ってるって何?私何言われてるの?」
「知らないのね…、あの人、最近ずっと…」


レイが何か言いかけた途中で廊下の向こう側から大きな声が聞こえてきた。
……この声は、渚くんだ。
女の子に話しかけてるみたいだ。


「ねーねーねー!君達さーなまえって子知らない?A組以外のクラスの!」
「えー知らないよー渚くん最近そればっかりじゃんー。」
「ずっと探してるんだけど見つからないんだ。苗字もクラスも聞くの忘れちゃったし。」
「なんでそんなよく知らない子探してるの?どういう関係なの?」
「どういうって…恋人だけど?」
「ほんとなのー?クラスも名前もろくに知らないのにー?それに彼女作らないんじゃなかったの〜?」
「なまえは別なんだよ。ねーどこのクラスかとか知らない?可愛くてさー僕よりちっちゃくてさー…」
「渚くんベタボレじゃん!ていうかほとんどの女子渚くんよりちっちゃいって!」
「?なにそれ、ベタボレってなに?」


レイはきゃはきゃはと会話が聞こえてくる方を指差し、
「…ああやって、最近いろんな人に聞きに回ってなまえって人をさがしてるみたいなの。…なまえのことかと思ったけど、違う?」
「……………えーーーと……うーーーーん……」
「…なまえのことなのね。」
「う…………」
「どうして私の影に隠れているの?」
「な、なんとなく…」
「…あの人と恋人同士って、本当?」
「え、えっと……」


なんとなく見つかったらマズい気がして咄嗟にレイを楯にして隠れてしまったが…、あれはつまりやっぱり恋人になったってことなのかな?どうしよ…なんだか、…どうしよう。
渚くんレイを見つけたらしく駆け寄ってきた。どうしよう本格的にどうしよう。


「あ、ファースト。ファーストにも聞いとこうかな。あのさーなまえっていうさー…」
「……………なまえ」
「ん?後ろに居る子、だ、れ…………」


レイが私の名前を呼んで何かを急かした。私の方を覗きこんだ渚くんと私はばっちり目があってしまった。


「あ……、ええっと、渚くんひさしぶ」
「なまえ!!!!!!!!!!」
「えっ」
「やっと見つけたーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」
「…うるさい」


私にがばっと抱きついてきたかと思うと、レイもつっこむ程になんとも大きい声だ。注目を集めるのはやめて欲しい…。


「ごめん!僕連絡先もクラスも聞くの忘れちゃったから会えなくて…!ずっと探してたんだよ!」
「そ、そうだったの。」
「もう会えないかと思ったから良かった〜。っていうか、渚くんに戻ってるし!カヲルって呼んでよ!恋人同士なんだから!」
「あ、う、うん…あの、ちょ、恥ずかしいんだけど…。」
「だって、ずっと探してたから僕嬉しくって!」


…とても申し訳ない気持ちになった。私はカヲルが何組かとか知ってたんだから、私が声をかければ良かったのに。その勇気がないからって勝手にカヲルにからかわれたことにしたりして、酷いよね…。


「ごめん…」
「何で謝ってんの?」
「いや、その…」
「会えたんだからなんでもいいよ!それでなまえは何組なの?これから帰りは迎えに行くから!一緒に帰ろうよ。」
「…うん、ありがとう。」


カヲルが本当に嬉しそうな顔をしているので、つられて私も笑うともっと嬉しそうにカヲルも笑ってくれた。




「ていうか、ファーストと友達だったんだ?」
「うん、そう…」
「そう、友達。」
「レイ…!(友達だと思ってくれてたのね…!)」
「だから、友達として、言う。なまえ。この人とはやく別れた方がいい。」
「…えっ?」
「ファーストそういうこと言うのやめてくれないかい?」
「なまえにはもっとちゃんとした…いい人がもっといるはず。この人にすることはないわ。」
「僕悪い人じゃないけど。」
「ははは…(なんでカヲルはエヴァのパイロットに嫌われてるんだろう…)」








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