今日は好きな人と会う約束をしている


髪に念をいれてブローする

いつもはあんまり着ない女の子っぽいワンピース着て、


いつもしないけどお化粧もした


「………よし」
鏡の前の自分を見て言う
何がよしかわからないけど…いつもよりはよし、な、はず。


買ったばかりの綺麗な靴はいて、

家をでる



あなたの前だけ、こんなに綺麗にするのは

まるであたしはシンデレラ
あなたに会うとき…舞踏会のときだけ、
魔法がかかった綺麗なあたし

でも魔法使いなんていないから、
自分でやるしかない
かぼちゃの馬車もないけど、
自分で、あたしの足で向かうから


歩いて向かったけど待ち合わせの時間よりはやく着く、
あー緊張するー

そんなこと考えながら
王子様を待つシンデレラ

あたし、なんて乙女な事を考えてるのだろう…、

すると、ふと視界が真っ暗になる

「だーれだ」
「うわあ、…フランシス」

後ろから目隠しされた
全然気づかなかった…

「待った?」
「んー、ちょっとだけ、」
「そこは全然、今来たところ。とか言うもんだよ」
「…言ってほしかった?」
「いいや、別にいいんだ、素直でなまえらしいからな」
「それほめてる?」
あははと笑うフランシス

「おー今日は可愛いかっこだね」
ドキッとする、…やっぱりほめてくれた
「…いつも、だよ!」
「あはは、そうだな」
冗談混じりに言うと、笑ってくれた
「じゃあ行こうか、」
「うん!」

デートなのかな、これ
恋人どうしみたいで嬉しい


その後映画を見に行く
元々このデート(だといいな)は、あたしが「この映画みたいなー、あ…、でも今月あんまお金ないんだった…」とボヤいたらフランシスが連れてってあげるって、言ってくれた…


「映画面白かった!」
「なまえ最後泣きそうだったじゃんー」
「う、うるさいな、なにによによしてんの!あ、お金ありがとう…」
「いいよいいよ、お兄さんに任せな」
「うー…」
あたしだってなけなしのお金をもってきたのに、


くそ、王子様め。


でも、なんで王子様はこんなシンデレラによくしてくれるのかしら?


期待、…してしまう。


「あー!」
いきなりフランシスが声をあげる
「もう0時まわっちゃうよ、なまえはやく帰りな、お兄さん送ってあげるから」

"まだ"0時、だよ。子供扱いしやがって
いやだよ、帰りたくなんてない


「……」


落とせるような、ガラスの靴もないし、


「……フランシス」
「なになまえ、」

フランシスの言葉が途切れる

「…っじゃあねっ!」

あたしはくるっと背中を向けて走った。



だから、あたしを追いかけて、あたしを探して、見つけて



シンデレラは一つ、キスを落としていきました。








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