嗚呼、青春
空、と。呼ぶ声が、聞こえた。
ぱちりと目を開け、周囲の安全を確認。
上体を起こし、対象を認識。
「おはよう」
「うん、おはよう」
少年の朗らかな笑み。アイサツはあっていたようだ。
「放課後なんだ、もう」
「……午後十六時きっかりです」
「うん、そうだね」
また、笑う。
鼓動が、跳ねた。──何故?
「帰り道、美味しいクレープ屋さんがあるんだ。寄っていこ?」
「承認。……行きましょう、マスター」
「はい!」
手を差し出された。首を小さく傾げる。
「ほら、手をつなぐの!」
「?」
触れ合う。……また、跳ねた。
──でも、これは、なんだか……あたたかい。
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