クリスマスのときにシェゾかくれた紙袋を見つめる。何が入っているか気になるけど、もったいなくて未だに開けられない。借りたCDを聴いて思わず頬を緩めた。本当にあたたかい声だなあこの人。まるで君みたいだ。あたたかくて優しくて、僕を溶かしちゃいそうな君。 先日アミティが退院した。窓から大きく手を振ると、彼女も目一杯両手を振り返した。アミティは最後の最後まで笑顔を絶やさず僕にしあわせを教えてくれた。これ以上増えることのない金平糖や減ることのないマシュマロの入ったビンを見て目を細める。 アミティはいなくなった。でも、僕はもうひとりじゃない。シェゾが居るんだ。最初からずうっと傍に居てくれたのに、近すぎて気付けなかったんだ。ごめんね。ごめん。ありがとう。 イヤホンがシャカシャカ鳴る。メロディーもそろそろ終わりそうだ。何度も何度も繰り返し聴いて覚えた旋律を小さく口ずさむ。瞼を閉じて布団に潜ると、まるでライブのようだった。本物のライブに行きたいなあ、シェゾと一緒に。 激しく咳き込むと、咳のしすぎで喉が切れたのか赤黒い鮮血が手の平や口元に付着していた。すぐさま拭ってバシャバシャと乱暴に手を洗い、鏡に映った自分の顔をペチンと叩いて強く見据える。僕はもう絶対に泣かないと決めたんだから、逃げちゃ駄目だ。 うん、大丈夫 もしも僕が死んだら、君は悲しんでくれますか?泣いてくれますか?それだけでもう、僕はしあわせです。 |