俺は声に混じる震えを隠しながら、かろうじて病院の場所だけ聞き出した。頭を下げてから職員室を飛び出して通学鞄を取りに戻り、教室でたむろしている奴らと挨拶もろくにしないでバス停へと走る。レムレスは隣町の大きな病院に入院しているらしい。気持ちばかりが焦り、バスに乗った後もずっとそわそわしていた。やけにノロく進んでいるように感じるのは気のせいなのだろうが、じっと待っていることが出来なかったのだ。
結局、まだまだ先があるくせに次の地点で降りてしまい、ただ走った。力のコントロールが上手く出来ず、バカみたいに全力を使っているためかツケが回ってきたようだ。息が上がる苦しいレムレスのがもっと苦しいんだゴホッ息が吸えないッゲホゲホ――足がもつれて体が宙に浮かび、ものの見事に転がる。通行人が俺を見て小さな悲鳴を上げたから、ハタから見たらそれはもう物凄い「転がり」だったのだろう。ぐ、と地面を叩きながら立ち上がってヨロヨロ足を進める。吐く息は白いくせに体中は熱くて痛い。ズキンズキンと疼いたが、今はそんなことよりもレムレスに会いたかった。
病院に着いたときには、すでに夕陽が沈み月が顔を出していた。冬は日没がはやい。膝に手を当てて呼吸を整え、制服に付着した土を払う。じわりと血が滲んでいる部位もあった。ようやく落ち着いたところで、明るい光に吸い込まれるように病院に入る。独特な雰囲気や匂いで変に緊張してしまうこの場所が、正直言うと苦手だ。ぎこちなく受付でやり取りをしてレムレスの病室を聞き、エレベーターに入ったところで詰まる息を深く吐き出した。


(やっぱり、聞き間違いじゃ、なかったんだ)


壁にもたれかかりながら、一週間前の能天気な自分やつい先程まで淡い期待を抱いていた自分を嘲るように笑う。ばかだよなあ。俺、もしかしたらレムレスは入院なんてしていないって思ったんだ。夢なんじゃないかって思ったんだ。一週間前なんて、レムレスのことを気にしてもいなかったんだ。なのに、なのに俺は今ここに居て夢なんかじゃなくて、もうすぐ――虚ろな瞳は目的の階の数字をぼんやりと捉える。ドアなど開かなければいいのにと思ったが、俺の意図とは反して呆気なく開いてしまった。
プレートを見て歩いていると、走り書きでレムレスと書いてある部屋を見つけた。心臓がズクンと重くなる。見つけてしまった。見つけたくなかった。部屋の前まで来たというのに、隔てる一枚の壁があまりに重くて大きくて、俺は佇むことしか出来なかった。


なあ……俺には、このドアが果てしなく遠く感じるんだ。俺は、俺はお前と会うのが、 い















怖い


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