ブーンと低い音をたてて首を振る扇風機。その前には、動きに合わせて顔を移動させる変な生き物が。見ないフリをしようにも、気になってしょうがない。まるでそこらの小学生のようだ。そいつのせいでこちらまで風が届かないため、仕方なく団扇で風を扇ぐが、腕が疲れるため途中で動作を止めてしまった。


「おい風が来ないから退け」

「あ゛ー」

「扇風機で遊ぶな貴様は小学生か!」

「いいじゃんあやちゃんのケーチ」


扇風機に向かって「あー」と声を出し、振動を楽しむ姿はまさに小学生。むしろ幼稚園児と同様なのではないのだろうか。半ば呆れながら、纏わり付く前髪をかきあげる。こちらは暑い、眼鏡が曇る。何か髪を止められるものを探すが見当たらないため、仕方なくシオリ代わりにしていたクリップで前髪を止める。不意に小さく呪文を唱える声が聞こえ、何を企んでいるのだろうかと耳を澄ます。レムレスは扇風機を占領したまま、いつの間にかアイスを頬張っていた。くそ、貴様ばかり涼むとは……。


「ろくでもないことでいちいち魔法を使うな!」

「えー、らって動くのめんどくはいんらもん」

「口からアイスを離せ!」

「はーいはい、本当お母さんみたいだよねぇ」


頭が少し欠けたアイスを振りながらレムレスが笑う。まるでがき大将のように……先程からだが小学生やらなんやら、レムレスが餓鬼にしか見えない。アイスを奪ってシャクシャクと食ってやると、批難めいた唸り声。棒を突き返そうと思ったらアタリの文字が。アタリのアイスなど初めて見た。多少興奮しながら棒を見せると、レムレスは憎たらしいほど爽やかな笑顔を浮かべた。


「ア、アタリなど本当に存在するんだな……」

「そんなに嬉しいの?あやちゃんってば子ども」

「貴様にだけは言われたくない」


言葉とは裏腹な顔つきに苛立ちが増す。こいつめこの私を挑発するとはいい度胸だ。唇をニタリと歪めて扇風機のスイッチを切り、ついでにコンセントを抜いてやったら、レムレスはまさしく「ガーン」という効果音が当て嵌まるような顔になった。バラエティに富んだ奴だな……こんなことでムキになって大人げないと思うが、レムレスもレムレスだ。先程の子どものようなやり取りを思い出し、互いに顔を見合わせてクスリと笑った。





涼風バトルは永遠に!



―――
30000打フリリク企画!
レムレス受とのことでしたので、季節を交えたあやレムを書かせて頂きました。扇風機占領して「あー」ってやるレムレスと、お母さん的だけど子どもな一面もあるあやちゃんを書きたくて書いてしまいました……!
企画に参加してくださってありがとうございました!



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