高校に入ってから、真っ先に嫌いになった奴。それがノミ蟲こと折原臨也だった。俺の何が気に入らないのか、まだ会ったことも話したこともなかったくせに、裏で操作して俺に喧嘩をさせていた。来る者拒まず、がモットーな俺は絡んでくる奴を大嫌いな暴力で片っ端から片付けていった。これ以上ムカつくことは無い。だから俺はあいつが嫌いだ。あいつも俺を嫌いだ。これで解決すると思っていたのに。
あいつは直接絡んでこない。それがムカついてムカついてムカついて仕方ない。手前が来るならまだしも、他の人間を駒のように使いやがって。ああ止めだ止めだ、苛々する。


「いぃいいいざぁああやぁあああ!」

「っくしゅん、いま誰かに噂されたみたいだけど誰かな?」

「静雄じゃない?ていうか、噂じゃなくてリアルに名前叫んでたけど」

「……ああ、やっぱりシズちゃんか」


ガラス窓の向こうに透ける新羅と臨也の姿が、また俺を苛々させた。や、新羅は関係無ぇかもしれないが。とりあえずノミ蟲の学ランと赤いTシャツが見えただけで、俺のこめかみに浮かぶ血管ははち切れそうな勢いだった。
初めて臨也が直接やってきた動作は、確か「拍手」だったと思う。数人掛かりで襲ってきた奴らを殴り倒した後、馬鹿にしたような怠そうな拍手がこんな俺に向けられたってだけで怒りが込み上げたのに、動作の本人があのノミ蟲だったから殺さないように懸命に堪えるのが精一杯だった。


「よう、そろそろ殴らせろや」

「おおっと、そうはいかないよ」


拳をバキンベキンと鳴らしながら近付くと、臨也は挑発するように俺を見上げた。初めて、ちゃんと顔を見た。こんな顔してんだなコイツ。まぁ、興味なんて無いが。
臨也が人差し指をクイクイと動かして俺を呼ぶ。俺は警戒していたくせに、つられた衝動というかなんというか。馬鹿正直に顔を寄せてしまったのだ。ニヤリと歪む唇に、ガリッと唇を噛まれた。瞬時にのけ反ったが、遅かったようだ。痣のようなものが残る唇を押さえ、臨也を睨んだらウインクをされた。鳥肌がゾワリと全身を走る。俺、やっぱコイツ嫌いだ。





挨拶だよ、挨拶!



―――
30000打フリリク企画!
臨静の学パロとのことなので来神時代を書かせて頂き、ちょっとアニメ寄りを意識しました。
企画に参加してくださってありがとうございました!



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