「シズ、ちゃん。俺は君が好きだ、愛している。だからシズちゃんも俺を愛するべきだよね」 ポツリと呟かれた言葉。いつもならニッコニコしながら叫ぶのに、今日はマジな顔して小さく呟いただけだった。こういうの、ギャップって言うのか?少しうろたえてしまった。 臨也はふらりとよろめくように体を傾け、俺の胸板に飛び込んだ。あの折原臨也が、泣いている。俺の情報処理が少しだけ遅い頭には、理由はよくわからない。が、ボロボロと子供のように泣いている臨也を見たら、何かただならぬ雰囲気を自然と察知した。小刻みに震える骨張った細い背中を撫でつつも、冷静に考えを巡らせる俺が居る。どうして―――。 「っく………う」 「……ん、ほらよ」 「え、と……なに、シズちゃん……やめ、てよ。君の前で泣くことすら屈辱なのに、そんなことされたら俺のメンツ丸つぶれじゃん」 「知るかよ」 「……………ばーか」 ただ臨也の頭を撫でただけなのに、馬鹿と言われてしまった。少しだけ、本当に少しだけだが憎たらしい口調が戻ってきたようだ。しがみつくように巻かれた臨也の腕に、ギュッと力が入る。俺の胸元には、押し付けられたままの奴の顔。バーテン服は臨也の涙やらなんやらで濡れていた。おいコラ、鼻水。 不意に、涙でぐしゃぐしゃになった顔をバッと上げた臨也。コイツがこうなるのは珍しい、というか初めて見たかもしれない。愛して、と一言。聞き逃してしまってもおかしくないくらい微かな囁き声だったが、俺の耳までしっかり届いた。愛を渇望してしまったら最後、そのサイクルから抜け出すことは出来ない。 臨也は、すでに、もう―――。 これは病み上がりなんかじゃない ――― 30000打フリリク企画!臨静か静臨とのリクエストでしたので、どっちつかずな感じを目指しました。どちらかと言うと静臨寄り。 企画に参加してくださってありがとうございました! |