カランコロン、とコップの中で氷が踊る。今年は、去年よりも暑い。だらりと床に寝そべり団扇を扇ぐが、たいした風はこない。それに、この生ぬるさが余計に気分を悪くさせた。
放置したままのコップの周りには、急激な結露のためかみずたまりが出来ていた。向かい側で机に肘を立てていたレムレスは、それを手に取りコクリと喉を鳴らした。俺は、滴る汗を拭いながら体を起こし、レムレスからコップを受け取ってグイと飲み干す。あー、とレムレスの落胆とも批難とも取れる声。


「僕の、だったのになあ」

「喉が渇いて死んじまう」

「……だね、うん。アイスいる?」

「……おう」


しばらくは遠くで冷蔵庫をガサゴソと漁る音だけが時間を進め、俺はまた横になって腕で目を覆った。団扇を扇ぐだけでも疲れてしまうから、そちら側の手は力無く腹の上に乗っていた。いっそのこと、このまま寝てしまおうか――レムレスには悪いけどな。
レムレスの足音が近付いてくる。俺は体制を変えないまま耳をすました。ひとりじゃないと教えてくれる誰かの存在が、ただ嬉しかった。「はい、」と差し出されるアイスを受け取り、寝返りを打って口に含む。溶けかけたアイスは、甘ったるかった。





、真っ盛り



―――
30000打フリリク企画!シェレムとのリクエストでしたので、季節を絡めたシェレムを書かせて頂きました。
企画に参加してくださってありがとうございました!



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