俺は、ヨシヨシこと三好吉宗と共に期末考査に向けて勉強をしていた。ふたりであーだこーだ言い合って問題を解く。何故か、俺がわからないところがヨシヨシにはわかって、ヨシヨシがわからないところが俺にはわかった。なにこれ奇跡?俺たちってこんなに波長が合うのか?すげぇじゃん。
長時間持っていたからだろうか、シャープペンシルを持つ手がつってしまい声も無く悶える。地味に痛いぜ畜生。苦し紛れに時計に目をやると、もう学校を閉める時間になっていた。教室には生徒がまばらに居るが、ほとんど空に近かった。時間が時間だからな。椅子に全体重をかけてぐだぐだしていたら、ヨシヨシもぐったりした様子で椅子にもたれかかっていた。最初は帝人と杏里も居たが、気付いたら俺たちふたりになっていた。杏里は用事があるとかで、帝人は……なんだったっけ。たぶん帝人も用事があるのだろう。結局、暇人は俺たちだけなのか。


「おーうヨシヨシ……俺たちがんばったなあ……がんばったよなあ」

「……う、うん……頭パンクする」

「よし!こういうときはコンビニに寄って肉まんを買うに限る!行くぞーヨシヨシ!」

「え、ちょ、待っ……」


ヨシヨシを引っ張って立ち上がらせ、俺たちはコンビニに向かった。秋風が吹き付けて、肌寒い。学校指定のブレザーの下にパーカーを着ているが、寒いものは寒い。ヨシヨシはブレザーの上に何か羽織っているから俺と似たようなものかもしれないが、やはり寒そうに縮こまっている。小さくくしゃみをひとつ。寒いな、と笑い合った。
コンビニで肉まんをふたつ買って、駐車場の邪魔にならないところではむりと頬張る。あたたかいものがじんわり広がって、持つ手が熱くて、吐き出す息は一時的に白くなった。ヨシヨシはネズミみたいに小さく小さくかじっていて、なんか可愛かった。「男ならこうやって食えよ」と豪快に見本を見せてやると、ヨシヨシはじっと肉まんを見つめたあと俺みたいに大きく噛み付いた。美味い美味いと口いっぱいに頬張っているヨシヨシを見て、つい笑顔をこぼす。


「コンビニのものはチープだが美味いなら良かったぜ!なあヨシヨシぃ、明日も勉強教えてくれよ」

「僕なんかで、よかったら……あの、僕にも、教えて欲しいなあ」

「当ったり前じゃん!俺の手にかかればどの考査もちょちょいのちょい!いつでもオールむしろはなまるをもらったという偉業の伝説を背負うこの俺が直々に……」

「ルート、3点?」

「な、なにいいい!」

「え、だって、こういうときはルート3点って言うべきだって……」

「帝人か、帝人だな、帝人になにか言われたなあああ!こらヨシヨシ、俺のゴッドハンドをナメてたら、痛い目見るぜ?」


頭に両手を添えてのけ反る俺を見たヨシヨシはビックリしていた。まさか喜ぶとでも思っていたのか?ヨシヨシの首に手を回してぎゅうっと締め上げれば、ギブギブと俺の肩を叩いた。ホント、ヨシヨシは変なことばっか吹き込まれるんだから。まあ素直なんだろうな。ただ、素直すぎると池袋ではやっていけないぞ。よし、しかたないから俺が見張っていてやる。そうだ、それがいい。自分で言うのもアレだが、俺のほうが池袋に慣れているし喧嘩も強い。ヨシヨシのナヨナヨパンチなんて誰にも通用しないからな。










わないで聞いて


「……決めた。俺、ヨシヨシの守護神になる」

「なに言ってるの」

「なっ、笑うなって!」



―――
always lover」様に提出させて頂きました。ヨシヨシ企画とても楽しかったです。素敵企画ありがとうございました!


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