あ、帝人くんと正臣くんだ。折原臨也は前方に竜ヶ峰帝人と紀田正臣の背中を見つけ、コソリと呟いた。園原杏里もいる。ニィと笑ってゆっくりゆっくり近付くと、かすかに会話が聞こえてきた。


「そういえば臨也さんっていつも池袋に居るよね。暇人なのかな……むぐ」

「おいこら帝人!今はあいつの話をするな鳥肌が立つゾゾゾ!」

「賛成、です」

「どうしたの正臣?園原さんまで」


帝人は疑問符を浮かべて首を傾げる。それほど悪いことは言っていないはずだと自負していたからだ。正臣は露骨に嫌そうな顔をして折原臨也の悪いところをペラペラまくし立てた。――それはもう、長々と。園原杏里もたまに頷き、帝人自身も頷く場面もあった。あまり、否、かなり印象が悪い様子である。耳をそばだてて聞いていた臨也は虚しくなった。いや、聞かなければ良い話なのだが不思議と聞いてしまうのだ。ゆらりと暗いトーンで声をかけると、三人の体は面白いように跳ね上がった。あ、さいですか。臨也は渇いた笑顔を浮かべる。俺ってそんな奴だったの。少なくとも君たちにはそこまで酷くはないはずなのになアハハ。不憫に思った帝人がひとこと、


「えぇと、あの。盗み聞きは良くないと思いますよ。ストーカーはやめてください気持ち悪いです」


これが臨也に大打撃を与えたのは言うまでもないが、帝人は何も考えていなかったのだ。「天然兵器」――正臣は吹き出し、杏里は無表情で臨也を見つめた。笑ってくれればいいものを、無表情だったらその分傷付く。臨也の長い腕が帝人と正臣の首に回り、ぎゅうと近付ける。「首、首締まる!」帝人と正臣の声は今の臨也には届かなかった。



いや、まあ気にしてないけど

((嘘つけ……!))



―――
40000打フリリク企画!帝+正+臨のほのぼのとのリクエストでしたが、ほのぼのというより不憫な臨也さんのようになってしまいました。このあと何事もなかったように笑い合えばいいですね。企画に参加してくださってありがとうございました!


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