じわじわと遠くでも近くでもセミが鳴いている。聞いているだけで暑い。暑いようと言いつつもシェゾにべったりとくっつく僕はどこかおかしいのかもしれない。甘えたい盛りなんだ、気にしないでよと考えてみる。なんてこどもらしい発想なのだろうか。シェゾはと言うと「暑いくっつくな」とは言ってもそこまで僕を邪険にしない。優しいんだなあ。 ハーフパンツから伸びたシェゾの白い足に肘を立てると、シェゾはくすぐったそうに笑った。僕もヘラッとした笑顔で見上げたら、頭をわしゃわしゃと撫でられた。彼なりの照れ隠しなのだろう。 「あー、もう。髪ぐしゃぐしゃ」 「ハイハイ」 「責任持って治してよ」 「ハイハイ」 肩くらいまで伸びた僕の髪を、シェゾの長い指が優しく治してくれる。気持ちいいなあと顔が緩むけど、立てた両膝の間に顔をうずめていたから多分きっと気付かれていないだろう。不意にシェゾは不器用に結ってまとめた髪を持ち上げた。疑問符を浮かべて少し振り向いたら、ガブリと首に噛み付く野獣の牙。思わず僕は悲鳴のような声を上げた。あ痛っ。ジンジンする首をさすりながら、沸き上がる嫌な予感を確かめるために恐る恐る鏡を見てみた。チラリと映る首筋には、案の定なにか痣のようなものができている。僕はまた悲鳴を上げてしまった。 「ああああ!キ、キキ、」 「あ、キスマーク?」 「シェ、ゾ、最低!」 「いいだろこれくらい」 ニヤリと笑うシェゾに、してやられてしまった。僕のほっぺたは暑さとは別の意味でみるみる赤くなっていった。 この暑さは夏のせいだけじゃない (どうしてくれんだよう!) (別にいいじゃねえか、減るもんじゃないし) ――― 40000打フリリク企画!夏っぽい微裏とのリクエストでしたが、はい……ぬるすぎてすみません。むっつりシェゾと天然レムレスを書かせて頂きました。企画に参加してくださってありがとうございました! |