※軽く注意

















「ねぇ、臨也さん……あなたは嘘が嫌いですか?」

「嫌いじゃないよ」

「奇遇ですね、僕もです。人間って誰でも嘘をつきますもんね……僕だって、もちろんあなたも」

「……そりゃそうだ」


何をしたいんだこの子は。しばらく沈黙が続いて、俺から口を開こうとしたら帝人君が口を開いた、と思ったらこんな内容。なんか重いなあ、なんて思いながら足を組み直す。お互い向き合ってソファーに座っていたんだけど、ゆらりと帝人君が立ち上がって近付いてきた。ギシ、とソファーが軋んで帝人君の片膝が沈み込み、足の間に挟まれるような体制になった。彼の手は俺の顔の横にある。


「どうしたの?」

「臨也さん……僕、あなたをめちゃくちゃにしたい」

「ほう」

「泣かせ、たい」

「それも、嘘?」

「いや……本気です」


帝人君の顔が近付き、重なる。俺はあえて避けようとしなかった。互いの舌が絡まるのを感じ、背筋がゾクリとした。息が出来ない――息、吸いたい。


「……っん……は」

「臨、也」


今、臨也って呼ばれた。顔が真っ赤になったのがわかったけど、酸欠のせいだと思い込もう。帝人君の声が、手が、舌が俺を支配するようにゆっくりとうごめく。なんて言えばいいんだろう――なんか体の奥がむず痒い。つい顔を逸らしたら首をべろりと舐められ、過剰な程に体が跳ねた。


「……ッ!」

「あ、今、感じたでしょ」

「帝人君?」

「違う……帝人って呼んでよ、臨也」


また臨也って……耳元で囁かれたら、なんかおかしくなりそうだよ。自然と心拍数が上がり息が荒くなる。逃げなきゃ――このままじゃ、きっとやばい事になる。珍しく揺れる俺の瞳に気付いたのか、帝人君はニッコリ微笑む。子供のようなあどけなさを残した微笑みは、余計に俺を不安に陥れた。


「みか、ど……く」

「帝人ですよ」

「み……みか…」


言い終わる前にまた唇をふさがれ、深く深く堕ちていく。頭がぼーっとして、体が熱い。帝人君は、思い通りとでも言うように俺の頭を撫でる。それさえも気持ち良くて、帝人君の肩に顔を埋めた。耳に直接くる声に刺激。なんかすごくゾクゾクする。


「う……待っ………」

「待たない」

「お、れ……変になりそ……」

「言ったでしょう?めちゃくちゃにしたい、って」


囁く声はいつもより低く、俺の内に響き渡る。ああ、駄目だってば。君でいっぱいになっちゃう。















(嘘、本当、やっぱ嘘)

あなたを壊したいくらい大好きなんです


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