「トリックオアトリート!帝人くん帝人くん、お菓子をちょうだい」

「……お菓子?すみません、今は持っていません」

「じゃあ、いたずらするぞ!」

「あー、そんなこと言われても……」


臨也さんに会うや否やお菓子を要求されたが、残念なことに僕は今お菓子を持っていなかった。困ったように首をかしげても、臨也さんは催促するように手の平を広げている。ううーんどうしよう。ふと辺りを見回したら、すぐそこにコンビニを見つけた。「買ってきてあげますから、ここでおとなしく待っていてください」と言うと、彼は「はあい」といいお返事をした。
コンビニに入って、まず初めに目に入ったハロウィンコーナーをまじまじと見る。カラフルなお菓子がたくさんあって迷ったが、僕の財布に優しい値段のものを買った。ああ無駄遣いをしてしまった。小さくため息をついてガラス戸の向こうに目を向けたら、ガードレールに寄り掛かっている臨也さんが見えた。彼の背中からは何を考えているかわからない。


「……はい、お待たせしました」

「わああ帝人くんありがとう!」

「お礼、してくださいよう」

「お礼?何を言っているんだい君は」


臨也さんは早速ビニール袋からチョコレートを取り出して一口食べた。ハロウィン限定、パンプキン&マロン味。この組み合わせ、おいしいのかな。僕にはそんな冒険は出来ない。でも臨也さんはおいしいおいしいと口いっぱいに頬張っている。よほどお腹が空いていたのだろう、もう三分の二が終わっていた。
少しだけ、ほんの興味本位で欠けたチョコレートに噛み付くと、すごく甘かった。この組み合わせ、僕には合っていないかも。臨也さんの味覚を疑ってしまうが、お腹が空いているときには何でもおいしく感じるからしょうがないのかもしれない。















(チョコレートパニック)

やっぱり普通のチョコレートがいいな


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