不健康な臨也さんのために、太陽を持って行ってあげよう。ふとした、本当に気まぐれな企て。引きこもりの情報屋は、太陽の光を忘れてしまったのではないかと心配になったからだ。僕も人のことを言えないが、臨也さんほどではないだろう。暑さに耐え切れず腕をまくったら、真っ白いものが伸びていた。ああ僕ももっと男らしくなりたい。せめて健康な色に焼けたいなあ。これも宿題のための引きこもりのせいだろう。はあ、とため息をひとつ。僕は太陽を持って臨也さんのマンションに向かうのだった。











ピンポーン。1回のチャイムじゃ出ないことは知っていた。ピンポンピンポンピンポンピンポン――


「あーはいはい。うるさいなあ、もう……どなたですかあ?」

「えぇと、そのアホみたいな喋り方はどうにかならないんですか」

「っと、帝人君じゃないか……どうしたんだい?とりあえずロックを解除するよ」

「お、おじゃましま、す」


カチャリとロックが解除される。僕は小さく息を吸って足を踏み出した。何度来ても緊張してしまうのは何故なのだろうか。……僕って案外臆病者なのかな。臨也さんは前髪をちょこんと上げていた。まるで小さな噴水みたいで、ちょっとだけ可愛い。ちょっとだけね。パソコンをカタカタ打ちながら、あのニヤニヤを貼り付けている。それがなきゃイケメンなのに、もったいない。
しばらくして、臨也さんはようやく僕に目を向けた。僕の持っているものに興味があるのか、軽やかに立ち上がって近寄ってきた。臨也さんの薄い胸にグイと押し付けて、一言。


「太陽を、持ってきました」















(っふふ、君は面白いね)

(どうせ太陽を忘れていたでしょう)

(……思い出したよ、君のおかげで)



―――
太陽=向日葵


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