最初は一回だけピンポン。その後は連打してピンポンピンポンピンポン。朝っぱらからなんだ、うるさいったらありゃしない。どうせしつこい新聞屋だろうと思い、少し苛立ちながらドアを開けた。すると、立っているのは紛れも無い情報屋で、この暑苦しい中でも黒コートのフードを被っていた。僕の顔を見た瞬間整った顔がぐしゃっと崩れたから、理由もわからないままとりあえず家に招き入れた。


「み、みが、ど……ぐん」

「そんな顔してどうしたんですか」

「たずげ……でぇ……うええ」


倒れかかってきた彼は、ものすごく酒臭かった。朝まで飲んでいたのだろうか。あの臨也さんが、珍しい。おぼつかない足取りで、よたよたと僕に体重をかけてくる。正直、僕より長身の臨也さんを抱えて歩くのは大変だった。しょうがなく、申し訳ないと思いながらもその体をズルズルと引きずらせてもらった。
僕のベッドにたどり着くと、臨也さんはタオルケットに身を包んで「帝人君の匂いがする」なんて鼻をすんすんした。ブハッと飲みかけたアイスコーヒーが口から飛び出す。パソコンにかかってないか慌てて確認し、大丈夫だとわかってホッとしたのもつかの間。開きっぱなしの課題に茶色のシミが広がっていた。拭き取ろうと試みたが、時すでに遅し。
うあああと呻きながら台所に向かう。そして臨也さんのために水を持ってきたら、泣き疲れたのか安らかな寝息を立てていた。まったく、この人は。自由すぎて猫みたいだ。半ば呆れつつも、あまり怒りが込み上げてこないのは何故だろうか。あまり、というのがポイントで、少しは憤りを感じた。こんな朝早くに来るし、勝手に寝ちゃうし――僕に、何も言ってくれないし。そりゃ、僕は高校生になったばっかだ。それでも、肩を並べたいと思うのはおかしいのだろうか。















(自由気ままな酔っ払い)

どうしたらいいのかわからない


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